第20話 かぐや姫への想い
「あれから15年も経つんだな……」
「そうですねお父さん」
竹取の都の中心に豪華な屋敷がある。
そこにはかぐや姫とその両親の竹取の翁夫婦が住んでいる。
かぐや姫の両親は、かぐや姫と出会った16年前を思い出す。
「あの時はとにかくビックリしたな。 何せ竹が黄金に光っていたんだからな。」
「そうですね。私もお父さんからそう言われたときには信じられませんでしたよ」
「たがそれが事実だったんだな。 ワシはビクビクしながらその竹をナタで切ってみた。 黄金に光るその竹の中に小判が入ってるのでと浅はかな期待を抱きながらな」
「それが小判とは全然違ったんですよね」
「そうだな、だがある意味はワシら夫婦にとっては小判よりお宝だったな」
「私達夫婦は子宝に恵まれなかったですからね……」
「確かにな。だからこそ竹の中に小さな子供がいたときには驚きと嬉しさでワシは飛び跳ねたよ」
「私もお父さんが満面の笑みで家に帰ってきたときには、何か良い事があったのかと思いましたよ。 それがまさかあんな小さな子供だったとは」
「しかしお母さんさんがその子供をすんなり受け入れてくれてワシは嬉しかったよ」
「当たり前じゃないですかあんなにカワイイ子供なんですからね」
「しかしその子供は普通と違ってたな」
「そうですね。普通の赤ん坊とは違い、小さな子供という感じでしたからね」
「最初は戸惑いはあったがその子の笑顔が可愛らしくて、ワシの戸惑いも一瞬で吹き飛んだよ」
「確かに可愛らしい笑顔でしたね。 そしてすぐにお父さんは『かぐや』と名付けましたね」
「ワシはその子がカワイイ女の子と思っていたからのぉ…だから女の子の名前をつけたんだがの……」
「私も女の子だと思いましたよ。 でもオマタの間に小さいのが付いていましたからね」
「そうだな。しかしワシら夫婦はもともと女の子の子供が欲しかった」
「そうですね。女の子は可愛らしいですからね」
「だからワシらはかぐやを女の子として育ててしまった。」
「かぐやちゃんも最近までは自分を女の子だと思っていましたからね」
「そうだな……ワシらの願望を成就させるために、かぐやには辛い思いをさせてしまった……」
「かぐやちゃんも最近では反抗的な面はありますが、今もこうやって女の子として振る舞ってくれます」
「かぐやは十分に分かっているんだよ。 この竹取の都とワシらの家がかぐやの美貌とカリスマ性で成り立っていることを」
「そうですね。 かぐやちゃんの美貌に魅せられた高貴な方々が、かぐやちゃんに振り向いてもらおうと貢いだお宝でこの家は大きくなりましたね」
「それだけじゃない、かぐやが
「そのいろんな事をかぐやちゃんに背負わせているんですよね……」
「そうだな。かぐやには頭が上がらんな……でもワシは思うんじゃ、かぐやのあの魅力は人間の域を超えていると……」
「どういう意味ですか?お父さん?」
「かぐやに魅せられた者の姿はまるで魂を抜かれた人形のようだ。 人を好きになる姿とは何か違う、まるで蜜に集まるミツバチようだ」
「お父さんはかぐやちゃんがただ美しいだけじゃなく、何か別の要因で人を魅了してると考えているんですか?」
「そうだな……かぐや自身も竹から産まれたという特殊な生い立ちがある……ワシは懸念しておるんじゃ、かぐやの人を魅了する事が災いを巻き込んではしわまわと」
「―――お父さん。そのために私達がいるんじゃないですか。 かぐやちゃんは私達の大切な子供ですよ。 生い立ちが何であろうと私達の子供には代わりはありません。 かぐやちゃんに何か災いが起きたのなら、私達がかぐやちゃんを守ってあげましょう。」
「母さんの言う通りだな。 かぐやはワシらの大切な子供なんだからな」
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