第8話 化け物の正体
こんな恐ろしい姿の化け物がそんな目的の為に夜中に家に来るとは信じがたいと思ったイチゴは、それを更に問い詰めた。
「おい!嘘を付いたら承知せんぞ!」
そう言いイチゴは殴る素振りを見せた。
「嘘じゃないポン! ホントだポン!」
会話の語尾に「ポン、ポン」というのがあまりに面白かったニコが喋りだした。
「こんな怖い姿なのに『ポン、ポン』って言って、おもしろ~い」
そう言って喜ぶニコに慎重な桃太郎は険しい表情になった。
「姉さん、騙されちゃダメです! きっと、油断させる作戦ですよ!」
それを聞いた大きな顔は更に必死になり説明し始めた。
「嘘じゃないポン! ブンはタヌキだポン! 信じてほしいポン! ホントだポン!」
更に興味を示したニコは大きな顔の周りをグルグルと周り観察し始めると何かを発見した。
「あぁ!! こんな所に尻尾があるよー! 茶色と黒のシマシマだからタヌキの尻尾だよ!」
確かに大きな顔の後頭部の辺りにタヌキの尻尾らしきモノがピョコンと生えていた。
「信じてほしいポン。 その尻尾が証拠だポン」
それを聞いてもイチゴは不可解な点が何個もあったのでそれもタヌキに聞いてみた。
「それじゃお前は、どうしてそんな化け物の姿でいるんだ?」
タヌキは眉間にシワを寄せ困った表情で答えた。
「じ……実はタヌキの姿に戻れなくなったポン。 それで森でウロウロしてると『鬼が出た!』と言われて、森の奥へ奥へ来たら、この家に辿り着いたポン」
タヌキは大きな瞳に涙を溜めながら更に答えた。
「この姿だと、うまく木の実や虫も食べれなくて……餓死しそうになって……何か恵んでもらおうと、この家の来たんだポン」
イチゴはそれを聞いて少しは納得する所があり会話を続けた。
「それでオレに会ったとき『喰わせて』と言ったのか!?」
タヌキは大きな顔で「ウンウン」と頷いた。
「どうしてお前は化ける事が出来るんだ?」
急に桃太郎が興味ありげにタヌキに質問をした。
「ブンの一族は、昔から化ける力や人間と話せるんだポン。 どうして一族がそんな力が使えるかはわからないポン。 ブンの場合は、化けるのが下手で、ちょびちょび元の姿に戻れなくなるポン」
するとお婆さんがタヌキに助け舟を出してくれた。
「確かにおらも、そったら事を聞いた事があんぞ。 化けるタヌキがいるとな」
ニコが興味ありそうにタヌキに質問した。
「じゃあどうして、そんな大きな顔の化け物に化けたの?」
タヌキは大きな顔をモジモジさせ今までの経緯を答えた。
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