第2話 新生、ジジィ&ババァ爆誕!

お婆さんは血で汚れた赤ん坊らを手ぬぐいでキレイに拭き取ってあげた。


 そしてお婆さんはビックリして声を上げる。


「こりゃビックリだー! この赤ん坊らは男の子と女の子だぞ!」


 お爺さんも身を乗り出して見てみると、確かに片方の赤ん坊には小さなイチモツが付いていた。


「ババァ、こりゃ育てがいがあんぞ! 一度に男の子と女の子の両方を育てるんだ、うかうか死んどれんぞ!!」


 そう言ってお爺さんはお婆さんの方を見て驚いた。


「バ…ババァ、なんで上着を脱いてんだ!」


 お婆さんは誇らしげに言った。


「わかっとろうに、お乳をあげるに決まっとろう」


 そういうとお婆さんは垂れ下がってシワシワな乳房をグイッと赤ん坊の口に押し当てた。


 赤ん坊はお婆さんの乳首にしゃぶりつく、そうとうお腹が空いていたのだろう。


「ほれ、見てみー、ジジィ! 美味しそうにチューチュー吸っとるわ」


 そう言って誇らしげにお爺さんに目線を向ける。


 しかしお婆さんからは母乳は出ておらず、赤ん坊はまた「オギャーオギャー」と泣き始めてしまった。


 お爺さんはヤレヤレと呆れ顔で言う。


「ババァはもう、ババァなんだから、お乳が出るわけなかろう。 しょうがねーからわしが下の村さ行って、何か赤ん坊が飲めるもんをもらってくる」


 そう言ってお婆さんの方を見ると、お婆さんは桃の果肉の前に座っていた。


「ババァ、何してんだ!」


お婆さんは口いっぱいに桃を頬張りながら、フガフガしながら言った。


「も、桃、も…桃を…食ってんだ……。 栄養がねえから、お乳が出ねえんだ。 だから、この桃を食って精を出して、お乳を出すんだ!」


 お爺さんは呆れてポカーンと空いた口が塞がらなかった。


「おめえはバカか! こんなよくわからん桃を食ったら、何が起こるかわからんぞ!」


そう言ってお婆さんが食べるのを止めさせようとしたが、お婆さんは桃を食べるのに夢中でお爺さんの言葉が入ってこなかった。


「ムシャムシャ、ムシャムシャ、ムシャムシャ。 なんちゅう旨い桃だぁー。 こんな旨い桃は初めてだ!」


 お婆さんは異常と思える勢いで桃を食べる。


 その光景に只事ではないと思ったお爺さんは、お婆さんの体を力強く桃から遠ざけようとしたが、お婆さんはビクともしなかった。


「おいババァ! 食うのを止めろ! その桃は普通じゃねー!!」


 お爺さんは必死にお婆さんを止めようとするが、お婆さんは更に勢いよく食べる。


 そして食べることを邪魔するお爺さんを片手で払い除けた。


 その力はとても老人のものとは思えないほどの力で、お爺さんは宙を舞って壁にぶつかった。


 お爺さんは頭を二度も強打したため、頭を押さえれヒーヒーと痛みを堪えてもがいていた。


 それでもお婆さんを止めようと、お爺さんが顔を上げる。


 お婆さんは満腹状態で食べるのを止めていた。


「いやー、食った食った、これ以上はもう食えん。 これなら、お乳もたくさん出るぞ、ジジィ!」


 お爺さんはお婆さんの姿を見て驚きのあまり腰を抜かし、足がプルプルとしてしまった。


「お、おめえは誰だ!? ババァなのか!?」


 お婆さんは不思議そうにお爺さんの質問に答える。


「ジジィ、ついにボケちまったか? おらに決まってろうに」


 その答えにお爺さんはお婆さんを指差した。


「ババァ、自分の姿を見てみろ!」


 お婆さんは何の事かわからなかったが、自分の手を見て驚愕した。


 なんと、あれほどシワシワだった手がシワ一つない色白でスベスベの手になっていた。


 お婆さんは驚き体をいろいろと確認する。


 垂れてフニャフニャだった乳房もハリのある巨乳になっている。


 お婆さんは慌てて台所の桶に水を入れて、自分の顔を見てみて喜びのあまりその場でガッツポーズをとっていた。


「ジジィ、おらぁ若返っとる! これならぎょうさん、お乳が出るぞ!」


 そこに立っていたのは二十歳くらいでグラマラスな美しい女性だった。


 お婆さんは何と桃を食べて若返ってしまったのだった。


 しかしお爺さんは何か不審に思っていた。


 それは桃の若返り効果などもあるが、お婆さんの容姿についてだった。


「ババァ、おめー若い時、そんなにベッピンだったか?」


 お婆さんはキョトンとした顔をしていたがあまり気にしていない様子だった。


「細けーことは気にすんな! ベッピンなかかぁが出来てジジィも嬉しいべ!」


 そう言われてお爺さんは、美しくなったお婆さんをマジマジと見つめ徐々に頬を赤らめた。


「そ、そうだな……」




「―――ところでババァ、体は大丈夫か?」


 お婆さんの若返りによって体に何かしらの異常がないか、お爺さんは心配して尋ねた。


 心配するお爺さんをよそ目にお婆さんは腕をブンブン回す。


「ほれ見てみろ! 若返っただけあってとにかく元気だ! ジジィも桃を食ってみー。 旨いし、若返るぞ!」


 お爺さんはそう言われ、恐る恐る桃を口に入れた……。


 桃を口に入れると芳醇で甘い味わいが口いっぱいに広がり、まるで夢心地の気分になった。


 そして自分ではもう抑えが効かないほど次々と桃を口に運び、巨大な桃がみるみる減っていった。


 そしてお爺さんの体も徐々に若返り、体中の筋肉がモリモリ膨張し始めてた。


 満腹で食べ終わったお爺さんは、強靭な格闘家のような体つきになって、ハゲた頭もフサフサになっていた。


「ジジィも若返ったな! でもジジィ、おまえさんはそんなに男前だったかのう?」


 お爺さんは胸を張ってお婆さんに言い放った。


「細けーことは気にすんな!!」


 二人は若返った事に喜び、大声で笑っていた。


 放置された赤ん坊らは、ポカ〜ンと二人を見つめていた。

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