第134話<執着>
ノベロは少し真面目な声で彼女に呼びかける。
チェリザ「どうしたの?」
ノベロ「時々登場人物の名前の脇に併記されているこの謎の数字はなんだ?33とか101とか235とか・・。これは一体なんだ?」
チェリザ「・・・ノベロは何だと思う?」
ノベロ「ん~?身長?体重?違うな・・・。善行度でもないよな。こんな大きな値ならば災厄と戦わずに済んだだろうし・・。ん~~~~・・・」
彼が悩んでいる間、チェリザは楽しそうな顔をしながら彼の顔を観察している。
ノベロ「同じ人物でもその時により値が違う・・・。脈拍?いや、違うか?」
チェリザ「・・・・。」
ノベロ「う~む。何かヒントはないか?」
チェリザ「私にとっては大切な値よ。でも、貴方にとってはそうでもないかも?」
彼女のヒントは益々彼を混乱させたようだ。
ノベロ「会話した時間?でも、ただその場にいただけ人物の脇に数字が書いてある。ん~、何か傾向はあるか?・・・女性の方が値が大きい傾向がある?」
ノベロは悩みながらも何かを閃いたらしく彼女に笑顔を向けた。
チェリザ「分かった?私のノベロ君?」
ノベロ「もしや・・その人物のその日の歩数ではないか?ほら女性はダイエットに興味があるだろ?矛盾はしていない。」
チェリザ「クスクス。ずっとそのままの貴方でいて欲しいわ。」
彼女は幸せそうに微笑みながらノベロに抱き着く。
ノベロ「その様子だと、どうやら不正解だったみたいだね。」
チェリザ「正解ではないけれども、貴方の答え私は大好きよ。」
クチュ。
チェリザはノベロに口づけをする。
ノベロ「で?答えは?」
チェリザ「貴方がその人を見た時間よ。」
ノベロ「ん?・・・う~ん。そうなのか?そう言われるとそういう気もするが・・。そうすると俺は女性ばかり見ていたという事になるな・・。」
チェリザ「あら、何か間違ってるかしら?貴方の数々のポエムをここで詠唱してもいいのよ?」
ノベロ「・・・コホン。コホン。魔法の詠唱みたいに言わないでくれ。」
チェリザ「フフフ。さ、テルーオ様に挨拶に行きましょう?」
チェリザは話題を変えた。
ノベロ「ん?ああ。そうか、まだ挨拶してなかったな。早い方が良いよな。」
チェリザ「ん~、ちょっと遅いかもしれないけど、あの方は怒りはしないでしょう。」
ノベロ「遅い?俺がここに来てまだ数刻だろう?」
チェリザ「クスクス。もう、約2か月よ。ノベロ君。」
ノベロ「え!?」
ノベロはぽかんとした顔をしている。
チェリザ「貴方は1月近く桜の木の傍でお昼寝をして、その後1月近く私を犯し続けて、さらに3日間気絶してたの。分かる?変態ノベロ君♡」
ノベロ「え?え?本当に?あの出歯亀事件からも1か月も経ってるのか?」
チェリザ「少し真面目な話すると神と人間って時間の感覚が大きく違うの。」
ノベロ「そうなんだね・・・。」
チェリザ「ええ。」
ノベロ「となると1年なんかはあっという間に過ぎちゃいそうだな。」
チェリザ「ええ。でも・・1000年は流石に長かったわ。」
チェリザはノベロに抱き着く。
ノベロ「・・ゴメン。俺が・・」
チェリザ「もし、『あの日、俺が君と出会わなければ君は殺されずに済んだ』とか『俺を忘れて他の人と一緒に・・』とか言いだしたら怒るわよ?」
チェリザはノベロのセリフを遮るように言った。
ノベロ「な、な、なぜ、俺の考えが・・・・!」
チェリザ「・・はあ。もう本当にお馬鹿さんなんだから。」
クチュ。
チェリザはノベロに口づけをする。
ノベロ「・・・・。」
ノベロはチェリザの髪を愛撫する。
チェリザ「プハ。いい?私はね貴方と一緒に過ごせるだけで幸せなの。だから悲しい事は言わないで?」
ノベロ「・・・・・・、キミには勝てないな。チェリザ。」
チェリザ「クスクス。貴方は永遠に私のモノ。そうでしょ?ノベロ?」
ノベロ「ああ。そしてキミは永遠に俺のモノだ。」
ノベロはチェリザを押し倒す。
チェリザ「もう、エッチなんだから♡」
いっかげつご~
ノベロ「・・流石にまずいかな?途中で薄々ヤバいかなって思ってたんだけど・・あまりに君が可愛くてだね・・。そのだね・・。歯止めが利かなくてだね・・。君を抱きしめると妙な快感物質が脳内に弾けるというか・・。そのだね・・。」
ノベロは神妙な顔で最愛の全裸の女性に言い訳じみたことを言っている。
チェリザ「クスクス。過去には半年番っていた神もいたみたいだから、多分大丈夫だと思う・・わ。さ、過ぎてしまったことは諦めて私を横抱きにしなさい?テルーオ様の部屋まで案内するわ。」
そう言いながらチェリザは己とノベロに魔法をかけ、二人は正装になった。
ノベロ「え?」
チェリザ「あら?貴方の期待を裏切ったあのメスにはするのに私にはしてくれないの?」
ノベロ「正直、また我慢できなくなりそうなんだけど・・。」
チェリザ「これで我慢して。」
クチュクチュ。
チェリザは口づけをする。
ノベロ「・・プハ。逆効果です。チェリザ様。」
チェリザ「ほら、言い方が昔に戻っているわよ?早く、抱いて♡」
ノベロはチェリザを横抱きにしながら石造りの神殿の様な建物を5分ほど歩いた頃に質素だが質が良い木製の扉の前に辿り着き、ゆっくりとチェリザを降ろした。
チェリザ「一級神テルーオ様、新たな五級神が挨拶したいとのことです。入室宜しいでしょうか?」
男の声「ん?ああ、いいよ。どうぞ入って〜。」
扉越しに間延びした返事が返ってくる。
チェリザ「失礼します。」
ノベロ「し、失礼します!!」
テルーオ「ああ、君が噂のノベロ君か。まずは・・お疲れ様でした。」
一級神テルーオの執務室は建物と同じ石造りのこじんまりとした部屋であり、部屋の奥に執務机と棚があるだけの質素な作りだった。
ノベロ「は、はい。」
テルーオ「まあ、座って。」
テルーオがそういうと木製の小さな椅子が虚空から2つ出てきた。
ノベロ「し、失礼します。」
チェリザ「クス。」
テルーオ「まあ、そんな堅くならずにリラックスして欲しい。」
ノベロ「人間の教会で祀られている御方を前にするとどうしても。」
テルーオは教会に飾られている像と同様に緑の軍服を着た筋肉モリモリマッチョマンのスキンヘッドである。今日の一級神様は人間に罰を与えた時と違い穏やかな雰囲気である。
ノベロ「えっと俺は神の一柱になれると伺っていますが・・」
テルーオ「ああ、これからもよろしく頼むよ。ノベロ殿。」
ノベロ「ハ、ハイ!」
テルーオ「さて、君の配属先だが・・。」
ここでテルーオは言葉を切り、部屋を見回す。
ノベロ「ん?」
テルーオ「一応、叶えられるか分からないが希望は聞いておこうか?新人の神は3柱いる二級神の内誰かの下に就くことになっている。」
ノベロ「そうですね・・・敢えて言うなら・・ファリーオ様でしょうか?」
チェリザ「!」
テルーオ「・・・理由も聞いてもいいかい?」
ノベロ「生前は生産職に憧れていたので。靴職人とか。鍛冶職人とか。調合師とか。」
テルーオ「・・・・。スマナイ。」
ノベロ「あ、いや、何かを責めるとかそんな意図はなかったのですが。」
テルーオ「まあ、ルーミオやマルーモの下にいる者でも趣味で鍛冶や裁縫や絵描きなどをしている者もいるから例え希望通りにならなくても、そこまで落胆しないで欲しいんだ。」
この様に言うということは違う神の元になりそうだ。
テルーオ「僕としては君には剣を司る神になって、チェリザと共にマルーモの補佐をして欲しいと思っているんだ。」
ノベロ「マルーモ様の補佐ですか?」
テルーオ「マルーモは主に戦闘関連を司っている。」
ノベロ「神とまともな戦いになる生物がいるとは思えませんが、誰と戦う想定なのでしょうか?」
テルーオ「異世界の神だ。」
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