第132話<ニノマエ君のお名前>♡


チェリザ「け・だ・も・の♡」


情事の後、チェリザはノベロに甘えるようにベッドで共に横になる。


ノベロ「君が可愛いのがいけないんだ。俺のせいじゃない。」


彼の口調が変わっている。


チェリザ「もう、貴方って本当にエッチね。」


ノベロはチェリザをバックハグするように寝ころび片手でチェリザの髪を愛撫し、もう片方の手で彼女の乳房を揉んでいる。


ノベロ「君の香り、声、視線、肉体、そのすべてが俺を興奮させるんだ。しょうがない。」


チェリザ「・・・・。私もよ。」


チェリザはノベロの胸元に頭を擦り付ける。


ノベロ「・・・・。これは俺の女神様から誘われているのだろうか?」


チェリザは長袖のシャツだけを羽織った姿で彼に馬乗りになる。


チェリザ「続きの前に・・ノベロ、私ね。貴方に聞きたいことがあるの。」


チェリザは微笑している。


「う、うん?」


ノベロは彼女のセリフに何か不穏なものを感じたのか一瞬身震いをする。


チェリザ「ノベロって上手ね。何回も意識が飛んじゃったもの。どこかで練習したの?」


チェリザは微笑んでいる。


ノベロ「あ、いや、あの、その・・・。」


チェリザ「まるで私の好きなトコロが全部分かっていたみたい。・・・ねえ、どうして?」


チェリザは微笑んでいる。


ノベロ「う・・えっと・・それはだね・・。」


チェリザ「・・・浮気ですか?」


チェリザは微笑んでいる。


ノベロ「ち、違うんだ。俺が十五歳の時、教会で懺悔していたのは多分知っているだろう?」


チェリザ「ええ。」


チェリザは微笑んでいる。


ノベロ「あの時見た夢というのが君に性の手ほどきを受ける夢だったんだ。」


彼は躊躇いがちに答える。


チェリザは・・・


チェリザ「クスクス。ごめんなさい。本当は全て知っていました。」


ノベロ「え?」


チェリザはノベロの顔に顔を近づける。いつの日かの淫夢のように彼からはチェリザの瞳しか見えないことだろう。


チェリザ「ねえ、ノベロ。あの時のセリフをもう一回言って欲しいな?」


ノベロ「・・・。青空のように澄んだ碧眼・・。ただ、美しい。ずっと貴女様を見ていたい。」


チェリザ「~~~!!!!」


チェリザは同じセリフを既に2回言われた事があるにも関わらず顔が真っ赤になっている。


ノベロ「あれは俺の妄想ではなく君本人だったのか・・。今までどっちだったか分からなかった。」


ノベロは恐る恐るといった感じで尋ねている。


チェリザ「本当は少しお仕置きだけして終わらせるつもりだったんだけど、貴方のその言葉が嬉しくて・・・。私も結構エッチなんです。もしかして幻滅しましたか?」


チェリザは少し不安そうな顔をしている。


ノベロ「何故だ?そこまで俺を好いてくれているんだろう?幻滅なんかしないよ。俺の女神様。」


チェリザ「ノベロ。・・大好き。」


チェリザは潤んだ瞳でノベロを凝視し、口づけをした。


クチュクチュ・・・・。


室内に水音が鳴り響く。


ノベロ「・・・・。」


ノベロはキスをしながらチェリザを押し倒し、チェリザもまた抵抗することなく受け入れる。


チェリザ「プハ。・・・・もう一回、一緒に気持ち良く・・なろ♡」


ノベロ「・・・はひょ。」




チェリザ「フフフ。可愛い寝顔。永遠に私だけの物・・フフフ。」


チェリザはノベロの上に馬乗りになりながら幸せそうに笑う。


ノベロは精魂尽きたのか気絶するように眠っている。


チェリザ「さて、この間に最後の仕上げをしないと・・・。」


チェリザはベッドから移動し身を清めた後、本棚より分厚いノートのようなものを取り出す。


チェリザ「フフフ。一番うれしかったあのセリフは入れておかないといけないよね。」


チェリザはノベロの頭を自らの太ももの上に乗せてノートに文字を刻んでいく。


テルーオ歴3107年8月1日


ノベロ「ここは?・・・チェリザ様はいない・・よな。」


彼は気がつくと神殿のような場所にいた。


「ここは神界にある神殿のとある一室だ。ノベロ君。」


ノベロは声のする方に振り向く。


ノベロ「!?」


彼は声の主を認識した瞬間最敬礼をした。


マルーモ「そう硬くなるな。二級神とは言っても唯の中間管理職さ。」


ノベロ「はあ・・。」


マルーモ「いろいろと聞きたい事はあるだろうが、今回君は少し特殊な役割を担った。本来ならば記憶を継承した上で転生させるのだが、こちらにも事情があり、転生前に記憶を全部消去する必要がある。」


ノベロ「はあ・・。」


マルーモ「記憶を消す前に君の希望を聞きたくてね。来世でも君は加護を無しとする予定だが、君は何の動物に転生したいかね?」


ノベロ「俺の希望の前に・・チェリザ様・・コホン、ブランカネージョ第一王女様は・・人間に生まれ変わるのでしょうか?」


マルーモ「ああ、あの碧眼の子か。あの子は狐に転生するみたいだぞ。」


ノベロ「・・・良かった。」


マルーモ「・・・・・。君も狐に転生するか?」


マルーモは表情を崩した。


ノベロ「彼女と同じ時代で近くに転生できるのでしょうか?」


マルーモ「はっきりとは教えられないが、凡そ同じタイミングではあるが結構離れた場所になるな。それこそ大陸レベルで。」


ノベロ「・・人間でお願いします。」


マルーモ「本当にいいのか?相変わらず人間どもは加護なしを差別している。辛い人生を送ることが確定するぞ?」


ノベロ「それでも、彼女に再会出来る可能性が一番高いのは霊長類である人間ですよね?安全に大陸を超えて移動できるのは人間の他には一部の鳥類だけでしょうから。鳥類になって彼女に食べられ一つになるというのも中々魅力的ではありますが・・・。」


マルーモ「う、うん?生憎、諸々の理由により水中動物と空を飛べる動物は禁止なんだ。ということで人間にしよう。そうしよう。人間に転生できるようにしよう。それでいいよな?早く、はいと、言え。」


マルーモは若干引いた様子で彼に返答を促す


ノベロ「あ、はい。」


「後は聞きたいことはあるか?」


ノベロ「いいえ。記憶が消去されるのならば特にありません。」


マルーモ「そうか。まあ、心が擦り切れることもあるだろうが頑張って生きて欲しい。」


ノベロ「ありがとうございます。」


テルーオ歴4982年12月1日


黒髪の女「お医者さんによると男の子らしいけど名前は何にしようかしら?」


黒髪の男「ん~、ナオキなんかどうだ?」


黒髪の女「良い名前だとは思うけど何か由来はあるの?」


黒髪の男「俺が昔好きだった演劇の主人公役を演じた俳優さんの名前だ。変にひねるよりはいいと思うのだが、どうだ?」


黒髪の女「そうね・・・私も賛成だけど・・あ、そうだ、一応ケイゴにも聞いてみようかしら?」

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