エンディング②「そばにいたいから」
碧と彼女は2人で帰った。
しばらくの間、何も話さずに歩いていたが、やがて彼がそっと口を開いた。
「線香花火ってさ、あんなに儚いのに、なんか嫌にならないっていうか…」
「不思議だよな」と碧は言った。地味だけど、じっと見つめいてる瞬間が何よりも楽しくて、終わってほしくないと思った。
「だから、あんたとそんな時間を共有できて嬉しかったっていうか。…あぁ、うまく伝えられないけど…」
彼は一度そっぽを向くと、今度はきちんと彼女の目を見た。
「そういう時間を、あんたと一緒に過ごせたらいいなっていう…」
言いたいことはわかっていた。十分伝わっていた。ただ、ちゃんとした言葉で聞きたかった。そう伝えると、彼は「意地悪」と赤面しながら呟いた。
「好きだよ。だから、これからもそばにいてほしい。」
あの時、彼に抱いてた感情の正体がやっとわかった。彼女は彼に恋していたのだ。だから、一緒に花火をする相手が、自分じゃないことがこんなにも嫌だったのだ。
笑顔で返事をすると、碧は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑んだ。
「なんだ。俺ら、両思いだったのかよ。」
そう言って、彼女の手を握った。その手を握り返した。すると碧は急にソワソワし始めた。どうしたのか聞くと、「聞くな」と言われた。
少しして、碧が顔を近づけてきた。すると唇に生温かい感触がした。その意味がわかると、彼女は赤面した。彼はそっぽを向いたが、耳まで真っ赤だった。
2人は手を握って歩き出した。
これからは幼馴染ではない。恋人として、一緒にいることを誓おう。大好きなあなたのそばで。
終わり
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