第4話
理沙との絆を深めた真紀と葵は、それぞれの問題に立ち向かう決意を固めていた。
真紀は、病気の母を支えることに加えて、自分の夢についても考え始めていた。
「先生、私、将来は看護師になりたいです。母のそばで、支えていきたいんです」
真紀の言葉に、理沙は嬉しさと驚きを隠せない。
「真紀、その気持ちはとても素晴らしいと思うわ。でも、真紀自身の人生も大切にしてほしいの。看護師になることが真紀の夢なら、全力で応援するわ」
理沙の言葉に、真紀は涙を浮かべて頷いた。母への想いと、自分の夢。その両方を大切にしていく決意を固めたのだ。
一方、葵は父親との関係改善に動き出していた。
「江口先生、私、父さんと話し合ってみました。私の気持ちを伝えたんです」
葵の報告に、理沙は期待に胸を膨らませる。
「それで、お父さんはなんて?」
「最初は戸惑っていたけど、でも私の気持ちをわかってくれたみたい。これからは、もっと私の意見も聞いてくれるって」
葵の表情は、以前にないほど明るく輝いている。父親との理解し合える関係が、少しずつ築かれ始めているのだ。
真紀と葵の成長を感じた理沙は、二人への想いを新たにしていた。
「二人とも、とても立派になったわね。先生は本当に嬉しいわ。でも、これからも支えが必要な時は、いつでも頼ってほしいの」
そう告げる理沙に、真紀と葵は笑顔で頷いた。
「ええ、先生には感謝してもしきれません」
「これからもよろしくお願いします、江口先生」
三人の絆は、確かなものへと成長していた。真紀と葵はそれぞれの道を歩み始め、理沙はその背中を見守り続ける。教師と生徒という関係を超えた、かけがえのない存在として。
夕暮れ時の教室に、三人の笑顔が溢れていた。窓の外には、夕焼けに染まるグラウンドが広がり、生徒たちの歓声が響いている。一つの学舎で過ごす、かけがえのない日々。理沙は生徒たちと過ごすこの時間を、一生の宝物にしようと心に誓った
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます