第8話 辞めていい

仕事でストレスが溜まっていた。

原因は僕が上手くコミュニケーションを取れないこと。

仕事上での相手の意図を読み取れなかったりする。曖昧が苦手。


そんな時にまたあの先輩にご飯に誘われて断った。


『私が怖い?』と聞かれ、

『はい』と答えた。


すると、使ってない会議室に連れて行かれ、


『キスして』と言ってきた。

『出来ません』と答えると、


『なぜ?』と。

『同棲してる彼女がいます』と答えると、

『結婚してるわけじゃない。』と言われ、

『それでも他の人とはしません。』と答えると、


部屋に音が響き渡るほどの大きさで頬を叩かれた。


直後、靴でそこを撫でられた。

我慢するので精一杯だった。


『それで?キスするの?しないの?』

『しません。。』と答えてまた僕はその場から逃げた。


会社から出て真鈴に電話をかけた。


―――――――――。

『どうし…』

『真鈴!!お願い!!綺麗にして!!真鈴の手で綺麗にして!!もうやだよ!!もうこんなのやだ!!』


僕は過呼吸を起こしかけていた。


すると、真鈴は冷静に、


『落ち着いて。今行く。どこ?』

『会社の外…。』


呼吸が早く荒くなって苦しくてその場にしゃがみこんだ。



―――――――――10分後、真鈴がタクシーで来てくれた。


『瀀騎!!』


既に呼吸は落ち着いていた。

そのまま真鈴と一緒に帰った。


帰宅して直ぐに服を洗濯機にかけた。

シャワーにも入って、浴槽にも…。

軽くフラッシュバックしていた。


耐えられず風呂の中で叫ぶと、真鈴が飛んできた。


真鈴は服のまま浴槽に入ってきて僕を抱きしめてくれた。



『もういい。辞めていい。』そう言って僕にキスした。

キスして優しく愛してくれた。


でもやっぱり足りなくて、

『真鈴…足りない…ねぇ、痛いのちょうだい』

と言うと、さらに愛してくれた。

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