第9話 感情の行方
あの事がきっかけで求める度合が酷くなっていた。内心、これ以上真鈴に負担をかけたくないと思って塞ぎ込むようになった。
兎に角頭の中で処理した。
果てる欲よりも、痛めつけられたい欲が多かった。そのついでに果てる感覚。でも果てるのは誰でもない真鈴の許可を得てから…。
そんな日々が続いたある日、用があって買い物に一人で出ていると、先日退職代行を使ってやめたあの会社のしかもあの
でもその人はそんな僕にお構い無しで近付いてきて、
『逃げたね。そんなに怖かった?』と聞いてきた。
『……』
頭の中が少しパニックになりつつなぜか反応し始めていた。
それをしっかり見られていて、
『こっち来て』と言われ、裏路地のホテルへ連れ込まれた。
部屋に入ると、その人は椅子に座って僕は立ったまま。以前にも職場でこのような形がよくあった。
『…あんたさ。』
『……』
『返事くらいしたら?』
『はい…』
『目見て話して』
『はい…』
鋭い目。恐怖しか無かった。
『自分でわかってる?』
五感が研ぎ澄まされる感覚がした。
『いきそうです…』
そう言うと、その人は立ち上がって僕の目の前にたった。
顎をあげられて、少し上から見下ろされた。
さっきとは打って変わって優しい目をしてした。
僕もつられて微笑むと、首筋に口付けられた。
思わず息を漏らすと、
次は痛みを与えてきた。
僕は叫び声を上げた。
『……悦んでる。』
『はい…』
『本当はしてほしかったんでしょ?』
『……はい。』
その人は僕を抱き寄せたかと思うと背中に爪を立てて引き下ろした。
容赦のない甘くて苦い攻めに狂いかけていた。
暫くして抱き寄せられて頭を撫でられると、
『……ああぁっ!!…』と体を震わせてその人の胸に身を預けた。
『……可愛い。』
―――――― ―――その日から週に数回会うようになった。
でも毎回、これで終わり。
一度だけ、その人のそこに勢いで直接触れたが、
『私はいいの』と手を抑えられた。
『なんで?』と聞くと、
『入れたい?』と聞かれた。
『寂しいかな』って答えると、
『使いたくなったら使う』と言われた。
多分だけど、そういう相手は他に居たんだと思う。
ある時は、カフェで会って僕が物欲しそうな顔をすると、テーブルの上で手を触ってきた。
僕はそれだけで、声を押し殺して、
『んッ……』と周りに聞こえないようにして、果てた。
その後店を出て物陰でその人にキスされた。
手を絡められただけで2度目。
僕はその日、初めてその人に言った。
『あの……俺と付き合ってください。つきあってくれなくてもいいから、もっとしてください…』と。
するとその人は冷たくこう答えた。
『別に私、あんたに興味無い。』と。
でも何故かその後初めて深く深いキスをされた。
その時は僕が制御効かなくて、その人のそこに手を入れて奥を刺激すると僕を包み込んで果てた。
そのまま、その人の家へ行って襲われた。
けど、『二度と来ないで。連絡もしてこないで』
と終わりを告げられた。
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