第6話 家族

―――――――――高2の夏休み。


ある暑い日の夜、僕は泣きながら真鈴の家に駆け込んだ。

玄関で倒れ込むと、お母さんが来て僕を真っ先に抱きしめてくれた。


『どうしたの?汗だくでしょ。』

『お母さん…お母さん…!!』


僕は汗だくでお母さん抱き着いた。


『どうした?何があったの?』

『助けて…。お願い…。真鈴と離れたくない…。真鈴と離れたくない!!…』


数分後、真鈴の家の近くにパトカーが止まって真鈴の家に警察が入ってきた。


『川波瀀騎さんですか?』

『はい。』

『お母さんを保護しました。瀀騎さんはどうしますか?一緒に来ますか?』

『行きません。僕はここに居ます。僕はここの子です。…だよね?お母さん?俺、ここの子だよね??』


『そうです。この子はうちのこです。何があったかは知りませんが、うちで預かります。』


そう言うと、警察は母を連れて去っていった。



『お母さん…ありがとう。』

『うちはいいけど、何があったの。』


『……ママが父さんを刺した。俺もやられかけた。』

『……。』

お母さんは言葉を失ってその場で考え込んでいると、真鈴が僕を抱きしめた。


『ママ、遅い。』


そう言って僕の額にキスした。


『大丈夫。真鈴、ここに居るから。大丈夫だよ。』

僕は声を上げて泣いた。



真鈴は暖かく包み込んでくれて、

全て受け入れてくれた。


僕はお母さんの前で真鈴にキスした。




――――――――高校卒業してすぐ、


僕と真鈴は家を出て2人で生活を始めた。


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