第4話 リードを引いて

――――――高校1年生。


夏のある日、真鈴が体育館裏で男と話してるのを見かけて聞き耳を立てていると、


『付き合ってください』と言われていた。

僕は、腹が立ってズカズカ歩いていって真鈴の目の前に立って…強引にキスした。


『真鈴、俺のだから。』と真鈴の目を見て男に聞こえるように言うと、

『へぇ、そんなとこあったんだ。』と真鈴が笑う。

『そう。あったの。俺のご主人様取られるわけに行かねーから。』と真面目な目で言うと、

『そうね。私はあなたの「ご主人様」だから。あなた以外の「わんこ」は要らない。』


僕は思わず、


『よかった』と呟くと、

『安心して』と僕にキスしてくれた。



その数日後。次は僕が女子に呼ばれて人気のない所に行くと同じパターンだった。


『付き合ってくれないかな?』と言われて、

『ごめん。俺、好きな人居るんだよね』と言うと、

『付き合ってるの?』と言われ、

『うーん。そういう訳じゃないけど、あいつに相手が出来たら気が狂いそうになる。だから俺は彼女要らない。』というと、

『よくわかんないけど、そっか…』と言われた。


その直後僕がその場から少し離れると、

真鈴が近付いてきて女の子の目の前で僕の頬を思い切り叩いた。

そして…僕の頭に手を回して強引にキスした。


『お返し。あたしの「わんこ」に手出したらただじゃおかない。それにあんたが《このしっぽ》ほかの女に振ったらあんたもこのままじゃ居られなくする。』と、膝を押し付けてきた。


『真鈴…ダメ…たつ…』

『勝手にどうぞ?どうせ出すんだから。』

『こんなとこで出せるか。』

『何?偉そうに?うん?』


真鈴は僕の首に爪を立てた。


『ヤバい…あぁっ…』


その瞬間真鈴が膝で上を向いたそれを軽く蹴りあげた。


『出すな。』

『はい…』


この頃には真鈴の一声でなんとかコントロール出来るようにはなっていた。



暫くして僕らに付き合いたいと声をかけてくる人達は居なくなった。


お互い思っていた。


『埋め合えるのは僕らしかいない。』と。



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