第3話 黙って

――――――別れてすぐの町の夏祭り。


当時彼女はいたが、真鈴を誘った。

その後も毎回イベントは真鈴と行った。

そのうち手繋いだりキスしたり周りが興味を持ち始めて誘われたが断った。


学校からの行き帰りも必ず真鈴と。

そのうち誰も僕らに付き合いたいと誘わなくなった。


真鈴も数度声をかけられたが断っていた。




中学3年生の冬、2人で祭りに行った時僕から真鈴にキスした。


『なんのキス?』真鈴は意地悪だ。

『「離れたくない」のキス。』


僕は初めて弱い感情を伝えた。


すると真鈴も僕にキスしてくれた。


『前に言ってた「寂しいから他と付き合う」ってさ、もしかして…』

『そう。真鈴に会えない日あるじゃん。居ない日もあるじゃん。それが耐えられなかった。』

『言えばよかったじゃん』

『弱いって思われたくなかった。』

『知ってるからあえて言わない。』


真鈴は僕を抱き寄せた。


『……』

『いいんだよ?』

『本当は嫌…。ちゃんとしたい…。』

『あたしはどっちでもいい。別に焦る必要もない。……ほら、いいよ?』



『あぁっ……ダメっ……』


僕は真鈴に指先を絡められてその場で果てた。



『考えたくないな』

『…なにを?』

『瀀騎をほかの人にあげること』

『行きたくない』

『そう?』

『行きたくない!!』


『泣かなくていいから。バカ。』

『行かない!!どこも行かない!!ずっと一緒に居んの!!』


『分かってる。』

『ほんとに分かってんの?!』

『……黙って。うるさい。』


真鈴は僕の首の後ろを強引に引き付けてキスした。


こうされないと安心しない。

ここまで手を焼かないと痺れない。


僕らは著しく何かかが壊れていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る