1-3 説明求む
「あなた方はこの世界を救って頂くため私達が呼び出した12人の勇者です。」
老人が俺達に向けて言うが中々頭に内容が入って来ない。皆も思考が停止しているだろうが、必死に耳を傾ける。
「では、この世界についてご説明致します。」
──まず、老人は正一位祭司と言ってこの国の最高権力者らしい。俺らが召喚されたのはケルラ王国と言って、この世界唯一の人間のみの王国らしい。というのも、この世界には人型の者達が大きく分けて【人間】【獣人】【魔族】【精霊】の4種おり、基本的に人間と獣人は共に共存しているらしい。この4種の他にも大まかな種族はあるのだが、今は関係無いので置いておく。その4種は力の均衡を保っていたのだが、最近になり魔族が力を付けている為、王国が兵を派遣したのだが遠征に行った者達は帰って来なかったそうだ。そこで
(この内容を30分くらいかけてダラダラ話された)
とっても長いのでまとめるとこんな感じだ。
「……い、一応分かった。」
「では、私はこれで。」
俺がそういうと老人は何処かへと歩いて行き、老人の後ろについていた男女の中から1人女が進み出て、俺らに頭を下げた後「着いて来るように」と手招きし、俺らの居る丸い儀式の部屋みたいな部屋から出ている13本の通路の中の1本に入って行った。
俺らも続いて入っていったが、なんというかずっと同じ装飾で同じところをグルグルまわっているような気持ちになる。
10分程歩いて大きな扉の前でやっと女は止まった。扉は金色で12人の女神らしき形が施されている。女は扉の前で
「我聖域に仕え聖清なる者なり。神よ我らに光を」
と余り聞き取れないようなボソボソとした声で言った。
直後、大きな音を立てて扉が開いた。
扉の奥は外だった。大きな庭?が広がっていて、50m先にまた同じ様な扉がある。ただ、その扉は既に開いておりその奥にはまた同じ様な通路が続いているが、とても明るい。
また女に続いてずっと通路を歩いていくと先程とはまた違う大きな扉の前に着いた。俺らが着いた瞬間扉は開いた。
扉の中はとても広い空間が広がっていた。
一番奥には数段登ったところに20代前半程の青年がアンティーク調の椅子に肘を付き足を組み、いかにも王たる威厳を持ち腰掛けている。左右には50代後半程の男と30代前半程の女が立っている。そこから真っ直ぐ、俺らのいる扉まで赤い絨毯が伸びている。
俺らが立たずんでいると椅子に座っている青年が口を開いた。
「世界を救わんとす者達よ、ようこそケルラ王国へ、この様な高い所からですまぬ。我はケルラ王国 第49代目国王ルイス・ジェネア・ケルラだ。」
青年は自分の自己紹介をすると
「此方がケルラ王国魔法大臣ジョゼフ・エンヴェローブ、此方がケルラ王国武術指南役エイリアス・ガルガンタだ。」
と、左右にいる男女を紹介した。2人とも熟練の者の風貌でエイリアス…さんは顔に傷が幾つもある。恐らく体にも沢山あるんだろう。
「大体の事情はヨーゼフから聞いていると思うがこの国……この世界が危ないのだ。どうか力を貸して欲しい。」
ヨーゼフ、というのは最初に居たあの老人だろうか。ルイス国王は座りながら頭を下げてきた。俺らは顔を見合わせる、どうせ行くあても無い、俺は元の世界に帰るよりこの世界に居たい。
『……力を貸します!』
『え?』
全員が揃った。
「いや、お前らは元の世界に……」
響さんが言うと
「何言ってんの~?それ言ったらヒビキっちもでしょ~?」
誇妖さんが言い返す。
他の人たちも口々に「いやいや、それ言ったら誇妖さんだって」「いや、嵐央さんも」と言うように他の人の身を感じているのか元の世界に帰るよう言っている。
「……なら、全員で、で良いんじゃない…ですか?」
俺は提案してみる。
『そうか!』
何故か皆この発想が無かったのか、俺が提案すると皆頷いた。
『精一杯、12人で励んでみます!』
俺たちはルイス国王に向かって一緒に頷いた。
息合うな、俺たち
「おぉ、!そうか感謝する。では、そこのレイナに案内を任せる。まずはステータスを確認して貰う。我も後で合流する。」
いつの間にか今まで先導していた女は居なくなり、変わりに別の女が横に立っていた。恐らくレイナというのはこの女だろう。
「では、皆様私に着いて来てくださいませ。」
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