Fit Boxing 2 を買いました。楽しかったので買ってよかったと思っていたら、よく分からない人が人生について語ってくれました。

──『週休三日でクーラーのある部屋でインターネットに繋がったパソコンでブログを書いている時点でお前の合格だ』──

☆☆☆


 2024年5月11日(土)。15時38分。


 こんにちは。井上和音です。


 「井上。Fit Boxing 2 を買ったそうじゃないか。面白かった。合格点だ。


 Fit Boxing 2 を気軽に買ったわけではないらしいが、買えるだけのお金があったということだ。結果として楽しかったのだから、貯金していた過去の井上も無論、合格点だ。


 やることが増えたな。Fit Boxing 2 をやってもいい。読書メーターをやってもいい。ブログは書かなくてはいけない。小説家になろうやnoteに移さなければいけない。それでも休日はごろ寝をする。昼にカップヌードルを二個食べた。美味しかったな。合格点だ。ごろ寝をした。罪悪感も何も無く、なんとも思わなかった。合格点だ。


 お金を使えと言っているわけでもなく、時間を大切にと言っているわけでもない。ただ、その行為が合格か不合格か、不適か、無能か、無駄か、浪費か。そのいずれかであろうが、合格点を取れればその行為はやってよかったことなんだ。


 人生ってそんなもんだろ。何を我慢しているんだ。集団に属したら我慢だらけだもんな。個人で、家で、部屋で、一人でやっているから自由に選べて合格か不合格かを自分の物差しで測ることが出来る。人生なんてそんなものだろ。


 合格だ」


 こんにちは。井上和音です。


 合格かどうかをいちいち言ってくれるこの人は誰でしょうかと思いますが、往々にして正解なのかもしれません。


 「合格だ。


 ちなみに俺が思う井上の不合格な点は、ブログのPV数とかいちいち寝ころびながら何度も確認するところかな。あれは不合格だ。寝たいときには黙って寝ていろ。何もしないほうが合格だ」


 CITY HUNTER を観るために Netflix に入っても、この人は「合格だ」と言ってくれそうな予感はある。あれほどKindleを買って、そのうち損をしたという気持ちになってさえ、今は損をしたという気持ちになっていないから「合格だ」と言ってくれそうな気がする。


 1700円もする万延元年のフットボールのKindleも買ってしまった。「合格だ」と言ってくれるだろうか。


 「仕事だよ。井上。お前の仕事はパートタイマーだと言うやつもいるが、あれはお金を集めるための手段に過ぎない。井上がやらなくてはいけないことは生きることだ。何だそれはと誤解を生まれるかもしれないが、生きているだけで年金が入る。つまりは金の為なら生きろというわけだ。生きる際には色々と選択肢が転がってくる。貯金がそこそこ貯まったやつなら特にそうだ。インターネットで何でも手に入る時代だ。商品の数なんて星の数を超えている。そんな星の数を超えているお金の使い道で、買ってみて楽しかったのならそれが合格以外で何だと言うのだ。貯金だけが合格ではないが、貯金もまた合格なのは間違いない。貯金は楽だ。楽しくはないが、楽しみを将来に持っていく意味でのただの投資に過ぎない。利率が高かろうが低かろうが、将来のお前が楽しいのならば貯金だって使い方としては合格だ」


 合格だ、と。何をしても合格だと言ってくれる人はそうそう居ないというのは分かってはいるが、貯金が増えるのは良いこととして、減ったとしても合格だと言ってくれる人はなかなか居ない。


 ごろ寝してても合格だと言ってくれる人も、なかなかいない。


 苦しみながら読書メーターを更新したところで、何にもならない。楽しみながら更新したのならば、「合格だ」と言ってくれるのかもしれない。


 「グリットか。グリット。土日に期待しすぎなんじゃねえのと俺は思うが、グリットはただ文章を新しく書く、それ以外はグリットではないらしいからな。それ以外は趣味だ趣味。本来の仕事は生きるだけだが、お前が自分を束縛して、続けてみなければ分からないとか言うのであれば、続けてみればいい。終わるまで続けてみればいい。どんな回り道も構わん。井上は散々回り道を通ってきていて、それが note なんかには仰山記録として残っているわけだが。合格だよ合格。生きてんだから合格。読書メーターを消さなければよかったと言っても、まあ、復活はできるわけで。次消さなければいいだけの話じゃねえか。読書メーターの為に万延元年のフットボールやら大江健三郎とかを買ってみたとか言っているのかもしれないが、それが趣味ならそれでいい。それが投資ならばそれでいい。それが体験ならばそれでいい。それが正しいと思うのならばそれでいい。


 生きていて犯罪でもおかさない限りは──何が犯罪か分からない時は、これが人に迷惑を掛けるかどうかで判断して、誰にも迷惑を掛けないと判断したのならば──何をしても井上は合格だ。おめでとう。生まれてきてくれて本当に良かった。誕生日になったらお祝いをしてやる。


 お前はもう大人だ。大人だからこそ、常識から外れても構わない世界にいる。


 学生において孤立したら破滅しか招かないからな。


 お前は学生を卒業した。卒業させた。飛び級で大学など辞めさせた。お前が同志社大学にいて哲学で学士を取っても特に意味はない。就職活動でIT企業に入って一人暮らしでその場しのぎを延々としていても特に意味はない。酷ければ不合格の場合もある。そんなに社会は楽でない。楽なレールを敷いてやった。それで耐えられないなんてことはないだろう。人生を相談できる相手は精神科医やソーシャルワーカーや、色々と与えてやっている。ソーシャルワーカーは卒業しそうな雰囲気だが。そのうち結婚でもするんじゃねえの。孤独でも結婚してもお前は合格だよ。自己破産でもしない限り合格だ。


 おめでとう、井上和音。


 無限の合格通知は永遠と続いていく」

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