第4話  秘密の継承

謎の人物が話し始めた。彼の名前は海斗で、彼もまた美鈴家の遠い親戚にあたり、若い頃は神社で修行をしていた。しかし、ある出来事が彼を家族から遠ざけ、別の道を歩むことになったのだった。


「私は...お前たちと同じ力を受け継ぐはずだった。しかし、私が選んだのは復讐だった。お前たちの両親の死には、もっと深い闇が関わっている。」海斗の声は震えていた。


彩は驚き、同時に心に疑問が湧いた。彼女の両親の死が単なる辻斬り事件ではなく、何か大きな陰謀の一部だというのか。


「私の行動は許されるものではない。しかし、お前に真実を伝えることが、私に残された唯一の救済だ。」海斗はそう言うと、彩に一枚の古びた写真を差し出した。写真には若い日の彼と彩の両親が一緒に写っていた。


「これは...」彩が言葉を失った。


海斗は続けた。「お前の両親は、この地を守るために戦い、そして多くの敵を作った。その一つがドエトロ軍団だ。彼らは長い間、この地の力を狙っていた。お前の両親が彼らの計画を阻止したからこそ、標的にされたのだ。」


彩の心は怒りと悲しみでいっぱいになったが、同時に彼女の使命感も新たな強さを得た。彼女は海斗に向かって堂々と言った。「敵が誰であれ、私はこの神社を、この町を守る。それが美鈴家の継承者としての私の責務だ。」


海斗は何かを決意したように頷き、ふたたび彩に向かって言った。「そのためには、お前がもっと強くならねばならない。私の知る限りの全てを伝えよう。」


その日、海斗は彩に多くの秘術と知識を伝えた。そして、彼は消えた賽銭とともに、神社に静かに置いていった。彩はその賽銭を手に取り、深い決意を新たにした。彼女の戦いは、これからが本当の始まりだった。鉄矢と楓が彼女のそばで力強く支えを示し、特別捜査室の留五郎も彼女の背中を押し続ける。美鈴彩、OSS10として、さらに強い戦士へと成長していくのだった。

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