第2話、英雄、己の正義を貫いて死ぬ
「君たち、後もう少しだから頑張ってあそこさえ越える事ができれば人間たちは追ってこないから」
「うん、わかったおじちゃん。ぼくたちをたすけてくれてありがとう」
俺ってそんなに老けているように見えているかな、確かにここ最近は戦いばかりしており見た目など気にしている暇などなかったからそう見えても無理もないのかも知れないけど。
「・・・まあ、確かに僕君から見れば俺は十分おじちゃんだな、それはどうも致しまして。さて、後もう少しだから頑張ってね」
俺たちはとある追手から逃げていた、それも数十人とかの数ではなくて数千規模・・・いや、下手にすれば万単位規模かもしれない軍勢から逃げていた。
この場所さえ越えてしまえば人間たちは追ってこれないからと思っている時に背後から馬の足音が聞こえ始めた。
ここさえ越える事ができたら後は問題がないのに逃してくれないかな。俺はこう見えて色々と人々のために頑張っていたつもりなのだけどな。
協力してくれとは言わないけど見逃してくれても良いのじゃないかな。だって財産も多く教会に寄付したし貧しい人々も無償で助けてあげたのだから。
そんな思いも通じずに先程よりもかなり近くまで迫ってきていると理解をして俺はここで残って戦うから先に逃げて欲しいとお願いをした。
すると人々・・・ハーフエルフたちは俺も含めて一緒に逃げましょうと言ってきたけど悪いけど俺も人間なんだと笑みを返してからだから安心して逃げてくださいと伝えてからハーフエルフたちは泣きながらごめんなさいと謝りながら俺を置いて逃げ始めた。
小さなハーフエルフの子供はどうしておじちゃんは一緒に逃げないのと聞かれたので怖い人たちをここで止めないといけないからねと優しく笑みを返して心配させないようにした。
そうして俺はここで迫りくる敵たちを待ち受けていると大軍が押し寄せてきたのである。
これはこれはかなりいるなしかも俺の元仲間たちも加わっておりかなり苦戦を強いられ・・・いや、死ぬだろうな確実にと理解をした。
ここまで来るのにもかなり体力を失っているから今の体力ではこの戦力を倒すほどに残っていない。
その時に俺に対して声をかけてきたのは共に8年間戦った聖女のジャンヌだった。
「ライージさん、どうしてなのですか!どうしてハーフエルフなんかを助けたのですか」
「何で?・・・簡単な答えだ、俺の信じる正義のためだ。ようやくハーフエルフと人間との戦いが終わりを迎えたのに・・・和平交渉までしたのに人間がそれからやってきた行動を思い出してみろ!それが正義だと言うのかお前たちは!!もしそれが正義だと言うのであれば俺は悪党だろうが化け物だろうが好きに呼べ、そんな事をするぐらいならその様に呼ばれたほうが遥かにマシだわ!!!」
そう、ハーフエルフとの長年の戦いが終わり和平交渉までしたのに人間たちはハーフエルフたちを実験道具や奴隷、虐殺などあまりにも非道な扱いをしていた。
そう、人間の最も悪い部分を行いに俺は耐えられるほどに俺は腐りきった悪人ではないと捕まっていたハーフエルフを逃して安全な地まで向かわせていた。
しかし、王国に教会は追撃部隊を作り追手来たわけだ。けれども俺の妨害、この今まで旅をして来て鍛え上げられたこの実力でここまで逃げられてしまってそして今、完全に逃げられた訳だ。
すると聖女、ジャンヌはそ、それはと反論する言葉が見つからずにしていたが護衛していた騎士たち、魔法使いたちが一斉に俺に対して攻撃を仕掛けてきたのである。
やはり仕掛けてきたかと思ったけど俺だって滅びの魔女と呼ばれている存在を倒しているのだ。そんな旅もしていない連中等に遅れを取るほど俺は弱くないが問題なのは俺と共に長年旅をしてきた仲間たちであり仲間たちは他と比べ物にならないぐらいに死線を何度も何度も超えており俺がいくら強くても体力には限界がある。
それに護衛の騎士や魔法使いたちも攻撃をしてきて確かにかすり傷しか負わないけどそれが積もれば大きなダメージになる。
それに今回は後方から援護をしてくれるのは誰もいない、敵にはかつての仲間達がいる勝敗は目に見えていた。
それでも俺は全くも降伏するつもりなどなかった。
降伏をするぐらいなら戦って死んだほうが遥かにマシなのでせっかくだから盛大におもてなしをしてやるかと思いで言うのだった。
「いらっしゃいませ!これが俺の最期のおもてなしになります!!どうぞ、最期までご堪能して下さい!!!」
圧倒的な戦力差でも英雄は一人で人類の総力を集めた精鋭部隊とも言える者達を殆ど倒してしまったがかつての仲間達が疲れきた英雄に襲い掛かり英雄は善戦をしたが徐々に追い詰められていった。
流石に強いな俺と共に8年間も戦い続けてきたのは伊達ではないかと思っている時に聖女の思い魔法の一撃が俺の体を貫通させて吹き飛ばした。
威力のあまりに飛ばされて空を舞っていた。俺は負けてここで死ぬのだなと理解をしてそのまま地面に落ちてから体に力が入ることはなく意識も遠くなり始めた。
前世で味わった死の感覚だから嫌でも理解をして覚悟を決めていた時に聖女ジャンヌが俺の元に近づいて泣きながらどうしてなのですか!?どうしてハーフエルフなんかを庇うために全てを捨てたのですかと泣きながら問いかけて来た。
「・・・後悔はしたくはないから・・・死ぬ事になったけど後悔はない。だから・・・気にするなお前は・・・聖女だ。きっとこれからも明るい未来が来るはず・・・だから気にするな俺のことは・・・元気・・・でな」
まだ話したい事はあったけど体はもうそれを許してくれなかった。完全に意識が遠のいて最期に聞こえてきたのは8年間共に苦労した妹みたいに愛していた彼女の泣き声だった。
彼女には大変申し訳ないことをしたけど俺は自分勝手な思いだけど良かったと思っている。俺は死んだけどそれで多くの無残な運命だったハーフエルフたちを救うことはできたのだ。
満足はしているだから後悔なんてない・・・いや、強いて言うのであればあの滅びの魔女と呼ばれていた彼女を救う事が出来なかった事だなと思いながら意識は暗い闇に飲まれていった。
後に滅びの魔女など多くの怪物たちを討ち倒して人々を救ってきた英雄は最期の出来事のせいで後の世に悪魔の騎士と言い伝えられてしまうのだった。
次の更新予定
前世、差別が酷すぎたので英雄として弱き者を助けるために横槍したら権力者に殺されたけど今世で絶世の美少女エルフ共に頑張ります 人中の蝮 @atkeda
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。前世、差別が酷すぎたので英雄として弱き者を助けるために横槍したら権力者に殺されたけど今世で絶世の美少女エルフ共に頑張りますの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます