第16話 こんにちは宇宙怪人ライオンです。

 ピンポーン!

「誰か来たのか?おれが出るか!」

 おれはドアを開けた。すると……

「こんにちは宇宙怪人ライオンです」

 かつて戦った、宇宙怪人暴走族のリーダー宇宙怪人ライオンが居た。なぜ……警察に捕まったよな?

 おれはその疑問を聞いてみた。

「執行猶予の判決が出まして」

「そうなんだ。しかしなぜうちに来たの?」

「それは……」

 ライオンが答えようとした時、父さんが玄関に出てきて……

「ユーキ、ライオン君の更生の手伝いをしなさい。」

 父さんがライオンの代わりに答えた。

「何でおれが!?ハムスター達の世話でいっぱいいっぱいだよ!それに更生の手伝いなんてやった事ないよ!」

「とにかくもう決まったんだ。出来る事はやってくれ。」

「ま、マジで……」

 おれに拒否権はないようだ。とにかくライオンの話しを聞いてみよう。





「住むところもなくて……仕事もないんです……」

 ライオンは困っているようだ。しかしどうしたものか……

 おれの家にライオンが住めるスペースはないし……

「宇宙に戻ればいいッチ!宇宙怪人なんだからッチ!」

 たまたま家に居たハムッチが良い提案をした!

「それが、宇宙船が壊れてまして、母星から助けに来てくれるのも二年後なんです」

「そうなんだ……二年は持ち堪えなければいけないのか……」

 どうしたらいいんだろう……

「NPO法人?ってところに助けてもらえばいいんじゃないか?じゃ!」

「そっか!そうしてみよう!」

 おれはハムタクの提案に乗ってみる事にした。

 近所のNPO法人に電話してみたら、話しを聞いてくれるみたいだ!ライオンといっしょに行ってみよう!





「宇宙怪人ライオンですか!?日本語がしゃべれるんですか?」

 NPO法人の人は驚いている。これが普通だよねー

「はい……しゃべれます。住むところと働くところを探しているのですが……」

「ちょっと手を見せてもらえますか?」

 NPO法人の人は宇宙怪人ライオンの手をよく見ている。

 しかしライオンの手は動物のライオンの前足に近い……

 宇宙怪人ハムスターは人間に近い手をしていたから、いろんな仕事が出来たが、ライオンは仕事出来るのだろうか?

「うーん、この手じゃ清掃なんかの仕事は出来ないかな……住むところは紹介しますが、仕事はとりあえず自分で探してください。」

 その後、部屋を紹介してもらった。とりあえずは良かったけど、仕事を探さないと……

 そうだ!あの仕事なら出来るんじゃないか!





 おれとライオンは資材運搬の仕事をする事にした。面接で事情を話したらあっさり合格した。

 ちなみに、暇そうにしていたハムタクとハムッチも連れて来た。

「石膏ボードはこう持つんじゃ!そしてあっちに運ぶんじゃ」

 この仕事をした事あるハムタクは、先輩風を吹かしながら、仕事をライオンとハムッチに教えている。

「こう……ですかね……こっちかな?」

 ライオンは戸惑いながらも、頑張って仕事している。おれも頑張って仕事するぞ!

 そして休憩時間になった。

「ライオン君まじで見た目ライオンだね」

「宇宙怪人ライオンなんで……仕方ないですね。」

 先輩ともちゃんと話せている。仕事もだんだん慣れてきたし、これは続けれるのではないか?

 休憩が終わった。仕事がまた始まる、ライオンは石膏ボードを四枚運べるようになった。休憩前は二枚が限界だったのに、大きな進歩だ。

「こっちか……ふう……頑張るぞ!」

 ライオンの頑張りは周りの職人達にも伝わっているようだ、

 暖かい目で見守ってくれている。

 そして仕事が終わった。かなり疲れた……ライオンやハムタク、ハムッチも疲れているようだ。

「疲れました……働くって大変ですね」

 ライオンはしみじみ言った。

「お金をもらうって大変なんだよ……明日も来れそう?」

「頑張ってみます!」

 ライオンはそう言って家に帰って行った。おれは他の仕事を探すため、次の日資材運搬の仕事には行かなかったが、ライオンは行ったみたいだ。

 ちなみにハムタクとハムッチは一日で嫌になって、次の日からは行かなかった。宇宙怪人ライオンの方が真面目に働くのか……





 そして一月くらい経った頃だった。

「あれ?ライオンから連絡だ。え、仲間が宇宙から迎え来た、だってさ!」

 おれはその場に居たハムスター達とライオンのもとへ向かった。

 ライオンの家の前には、円盤型の宇宙船が止まっていた!

 しかもかなりでかい!一軒家くらいの大きさだ。

 おれ達はライオンを見つけた!年配のように見える宇宙怪人ライオンとしゃべっている。

「ライオよ地球の人に迷惑をかけたようだな!俺はお前を殴らないと気が済まないぞ!」

 ライオンはライオって名前だったのか……しかし宇宙怪人ライオンって暴力的なのか?

「宇宙怪人ライオンはかなりの縦社会だぞ!」

 この疑問にはハムニブが答えてくれた。宇宙怪人も大変なんだな……

 そして、ライオは一発殴られた。かなり痛そうだ。

「ライオよ俺もお前を殴る!」

「俺も殴る!」

 年配のライオンの後ろに居た二人のライオンも殴らないと気が済まないようだ。

 ライオは二人のライオンに殴られた。しかしこれで終わりではなかった。

 宇宙船の中から宇宙怪人ライオンが何十人も出て来て、

「私もライオ殴るわ!」

「おいらにも殴らせてくれよ!」

 それぞれ自分も殴るというのだ。さすがに止めた方がいいかな?近くに居たコタローに相談してみる。

「ユーキ、やめた方がいいっすよ。巻き込まれるっす」

 おれ達はライオが殴られるのを黙って見ていた。

 そして三十人くらいに殴られた。その時年配のライオンが口を開いた。

「そろそろいいだろう。ライオは連れて帰ってやる!ユーキ君と宇宙怪人ハムスター君達!出来の悪い息子が世話になったな。ありがとう。」

 おれ達にライオン達が頭を下げた

「いえいえ、そんな……」

 おれは言葉がうまく出てこなかった。

「まあ、俺のおかげだぞ!」

「おいらをもっと褒めるっす!」

「ハムニブとコタローは何もやってないだろ!」

 ライオも近づいてお礼を言ってきた

「ユーキさんハムスターの皆さんありがとうございました」

 ライオは宇宙船に乗って帰っていった。






 しかし宇宙怪人ハムスター達も宇宙船を持っているのか?

 気になったから聞いてみた。

「近くの山に隠しているっす!今度ユーキにも見せるっす!」

「見せてくれるのはありがたいけど、大丈夫なのそれ!?」

「多分大丈夫だぞ!」

 多分じゃ困るんだよ……心配事が増えてしまった……

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