第17話 ねず一休登場

「ユーキちょっと来てー!ネズミが出たの!」

 母さんに呼ばれたので、その時居たハムスター達とキッチンに向かった。

「ユーキ、ネズミが一匹冷蔵庫と電話台のあいだを走っていたのよ!」

「ちょっと探してみるよ。」

「憎っくきネズミめ!捕まえやるじゃ!」

「やれる事はやるんよ」

 おれとハムタクとハムケンは手分けして冷蔵庫と電話台の裏を探した。しかしネズミは見つからない。

「母さん、本当に見たの?」

「本当に見たよ!間違いないよ!」

 母さんは嘘をついた事はない……しかし姿が見えない以上、捕まえる事は出来ない。

「ユーキ、ワシ殺鼠剤持ってるんよ。使う?」

「ハムケンそんな物持ってるの?使う!使うよ!」

 ハムケンはコンビニで働いているだけある

なー

 おれ達はホウ酸団子を作る事にした。

「こんな物作るなんて始めてだよ!作れる物なんだね」

 母さんとおれ達はノリノリでホウ酸団子を作った。これで、ネズミいなくなるといいけど……

「ところでハムケンちゃん。ネズミ取りは持ってない?」

「持ってるんよ。1000円で売っちゃうよー」

 ネズミ取りは金取るんかい!しかし母さんは

「買っちゃうよー」

 ハムケンから買っちゃった。ネズミ取りは冷蔵庫と電話台のあいだに設置した。ホウ酸団子は数日天日干しした後、キッチンの至る所に置いた。

 これでネズミがいなくなればいいけど……




 ネズミは警戒心が強い動物で、しばらく罠を置いとかないと、引っかからないらしい……

 しかし二週間経っても罠にかかった様子はない……母さんが言うにはネズミは何度か姿を現しているみたいだ。

「ハムケンちゃん、ネズミ取りまだ持ってない?」

「持ってるんよー1100円で売っちゃうよー」

 値上がりしている……しかし母さんは、

「値上げしても買っちゃうよー」

 それでも買っちゃうのであった。もう一個のネズミ取りはシンクの下の棚に設置した。これで捕まってくれたらいいけど……

 しかしさらに二週間経ってもネズミは捕まらなかった。





 今日はたまたまハムスター五人が揃っている。部屋でのんびりしていると、母さんがやって来た。

「ハムスターちゃん達とユーキ!またネズミが出たの!なんとかして!」

 おれ達はキッチンへ向かった。

「母さんどこに出たの?」

「冷蔵庫の近くに居たの!」

 おれ達は冷蔵庫の方に視線を向けた。すると……ネズミが出てきた!

「見つかったちゃ!逃げるちゃ!」

 ネズミがしゃべった!ネズミはネズミ取りをジャンプして避けて電話台の裏に隠れた!

「宇宙怪人ネズミっす!みんなで探すっす!」

 おれ達は電話台の裏を見てみた。するとネズミが出てきた!

「捕まえるぞみんな!」

 おれ達は捕まえようとするも誰も捕まえられない!ネズミはおれ達を華麗に避けて再び冷蔵庫の裏に逃げてしまった!

 おれ達は冷蔵庫の裏を見るも……

「冷蔵庫の裏にはいないぞ!繋がっているキッチンの裏に行ったぞ!」

「キッチンを動かすのは無理だッチ一体どうしたらいいッチ!」

 その時母さんが良い提案をした!

「ハムスターちゃん達が小さくなって追いかければいいじゃない?」

 そうだよ!ハムスター達が自分の意思で小さくなれるの忘れてた!おれ達は作戦を練って追いかける事にした。





 作戦はこうだ。キッチンの右側の裏からと左側の冷蔵庫の裏の両方からハムスター達を送り込み挟み撃ちにする!そして出てきたところをおれが捕獲する。

 右側からはコタローとハムニブを、左側にはハムタクとハムケンとハムッチを送り込んだ。

おれはスマホを使ってハムスター達と連絡を取る。そういえば始めの頃はトランシーバーを使って指示出してなかったか?

 もう使わないのだろうか?この疑問にはハムニブが答えてくれた。

「スマホの方が便利だぞ!」

 そりゃそうだ!スマホもハムスター達と同じように小さくなったしな。

「しかしキッチンの裏ホコリだらけっすねーあ、居たっす!」

 コタローが見つけたようだ!しかし……

「ネズミの奴おれ達を飛んで避けているんじゃ!これじゃ捕まえられないんじゃ!」

 どうしよう……そうだ!

「ハムケン!みんなにハムビタンZを飲ますんだ!」

「値上がりして1300円なんよーお金払ってねー」

 また値上がりしてる……しかししょうがない、払う事にした。

「捕まえるぞ!!!」

「いくッチ!!!」

「こいつらやばいちゃー!」

 ハムスター達はネズミを追い込む事に成功した。ネズミが出てきたのでおれはザルを使って捕まえた!

「やったー捕まえたぞー!!!」

「ハムスターちゃん達よくやったよ!」

 おれ達は全員で喜んだ!





 ハムスター達は巨大化して人間サイズに戻った。

「しかしこいつどうするっすか?」

ネズミを捕まえたもののどうしよう……

「調理して食べるか?じゃ!」

「それはやめとこう……」

 おれ達がいろいろしゃべっていると…

「おれっちも宇宙怪人ちゃ!やってやるちゃ!」

 ネズミはそう言うと、巨大化して人間サイズになった!

「ハムタク捕まえるっす」

「おうじゃ」

 しかし近くにいたコタローとハムタクに捕まった……両脇をしっかり掴んでいる。

「離せちゃー!離せちゃー」

 ネズミはそう言って暴れている。しかしコタローとハムタクは離さない。

「こいつ家から追い出そうよ」

「そうっすね」

「外に連れて行くじゃ!」

 コタローとハムタクはネズミを玄関から外に追い出した!その間ネズミは暴れていたが、無駄だった。

「これでネズミは来ないよね!ハムスターちゃんありがとう!でも……」

 母さんは何か思うところがあるのだろうか?しかし……

「おれ達の勝ちだよ、みんな!」

 おれ達はみんなで喜んだ。





 一週間後くらいの事だった。

 ピンポーン!

 おれは玄関を開けた。すると宇宙怪人ネズミが居た……

「帰ってきちゃったちゃ!」

「どうして帰って来たんだよ!」

「他の家ではやってられないちゃ!この家で飼ってくれちゃ!」

「ええ……」

 その時母さんが出て来て……

「ユーキ!飼ってあげましょうよ!しゃべるペットなんて貴重だよ!面倒も母さんが見るよ!」

「え、ええー!!」

「おれっちの名前はねず一休!お世話になるちゃ!」

 宇宙怪人ハムスターだけでなく、宇宙怪人ネズミまで飼う事になった……これ以上増えないといいけど……

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