第15話 ハムスターとうさぎ

「ユーキ!愛ちゃんからDMがきたっすー!」

 コタローはそう言いながら嬉しそうに部屋に入って来た。

 ちなみにハムケン以外のハムスター達は新しいスマホを、購入している。

「え、マジで!愛ちゃんってご当地アイドルとはいえ、アイドルだろ?ファンにDMするもんか?」

 おれは当然の疑問を聞いてみた。

「それが……宇宙怪人に関わる事なんっす。愛ちゃんのうさぎがしゃべったみたいなんっす!」

「マジか……じゃあ愛ちゃんの家にみんなで行ってみる?」

 たまたま今日はハムスター達五人が揃っている。戦いになっても大丈夫……だと思う。多分……

「わかったっす!愛ちゃんにそう連絡するっす!」





 おれ達はご当地アイドル。愛ちゃんの家にやって来た。ピンポンを鳴らしたら、愛ちゃんが出てきた。

「ユーキさんとハムスターさん達こんにちはーどうぞ家に入ってー」

 愛ちゃんは軽い感じでおれ達を迎えてくれた。追っかけしているコタローを見ているからか、他の宇宙怪人ハムスター達を見ても驚く様子はない。宇宙怪人ハムスター達もはかなりこの町に馴染んでいるんだな……





 愛ちゃんの部屋はワンルームだ。おれと愛ちゃんとハムスター達が入るとかなり狭い。

「部屋狭くてごめんねー」

 愛ちゃんは申し訳なさそうだ。

「いいっすよ愛ちゃん!まだ有名じゃないから仕方ないっす!」

 すかさずコタローがフォローするが、フォローになっているのか?

「ところで愛ちゃん、ケージの中に入っているうさぎがしゃべるの?」

「うん。そうなんだよねーこの前急にしゃべってねー宇宙怪人がなんたらとか言ってたんだよ。」

 おれ達はケージを見てみた。うさぎは寝ているみたいだ、宇宙怪人ぽさは感じない。

「ちょっとケージから出してもいい?」

「うん。いいよー」

 ケージから出してみると、うさぎが起きた。そして……

「宇宙怪人ハムスター達がなんでここにいるんだ!私達宇宙怪人うさぎの敵ではないか!」

 うさぎがしゃべった!そしておれとハムスター達は小さくなった。久しぶりの戦いだ!なんとか生き延びるぞ!





 近くにコタローが居たので、おれはコタローの背中に乗った。

「コタロー!宇宙怪人うさぎの弱点わかる?」

「わからないっす。でも地球にいるうさぎと弱点は一緒のはずっす!」

 だったら調べてみるか!と思っておれはスマホを取り出した。

 しかしよく考えたらなんでスマホまで小さくなっているんだ?

「怪電波によって小さくなると、身につけている物も小さくなるっすよ」

 そうなのか。まあ服とかも小さくなっているしな……そんなに気にする事でもないのかな?

そうこうしている間に、他のハムスター達はうさぎと戦っている。

 うさぎは当然ハムスターよりもでかいので、ハムスター達を潰しすつもりで前足で振り上げては下ろしている。

 ハムスター達はそれを何とか避けている、しかし避けるのに必死で反撃は出来ないようだ。

「ユーキ、なんか策はないんかー!」

 ハムケンがおれに呼びかけてきた!

 おれはスマホで「うさぎ 弱点」と調べてみるも戦いに役立つような情報は出てこない!

「このままじゃやられるッチ!ユーキ何とかしろッチ!」

 ハムッチもおれに呼びかけてきた。何とかしないと……

 今度は「うさぎ 特徴」で調べてみる。うさぎが逃げ足が速いのが、わかったが戦いには役に立たない情報だ……ん?

 予想検索に「うさぎ 特徴 耳」と出てきたぞ!これで調べてみよう。するとうさぎが耳が良い事がわかった。大きな音を出して動きを止めれないだろうか?コタローに聞いてみる。

「それいいっすね。その作戦でいくっす!」

 作戦が決まった!でもうさぎをケージに戻すには、愛ちゃんの協力が必要だ!おれはコタローから降りて愛ちゃんに話しかける事にした。




「愛ちゃーん愛ちゃーん!気づいていない……」

 愛ちゃんは呆然しているようだ。まあ仕方ないけど……うさぎをケージ戻すには愛ちゃんの協力が必要だ。

「愛ちゃん!おれはここだよ!小さくなっているよ!」

 おれは声を限界まで出した。愛ちゃんは気がついたようだ!

「あれーユーキ君何で小さくなってるのー?」

「話しは後だ!うさぎの動きが止まったら、ケージに戻してくれ!」

「うん!わかったよーそうするよー」

 愛ちゃんは軽い感じでokしてくれた。よし!後はハムスター達が頑張るだけだ!

 ハムスター達はどこからか取り出したメガホンを使って大声を出してうさぎの動きを止めようとしている。

 しかし、なかなか動きは止まらない!

「なかなか止まらないっすね……そうだみんなで一斉に声を出すっす!」

 ハムスター達は一箇所に集まった!

「みんないくっす!腹減ったーーー!!!」

 ハムスター達は動きすぎてお腹が減っているのか?

 しかし、ハムスター達全員の大声でうさぎの動きが止まった!

「愛ちゃん!今だ!」

「よし!戻しちゃうよー」

 愛ちゃんはうさぎを掴みケージに戻した!

「みんなーおれ達の勝ちだ!」

 おれの言葉にハムスター達は全員で喜んだ!





 その後、おれ達は愛ちゃんに昼御飯をご馳走になった。

 宇宙怪人うさぎは今後も飼い続けるらしい。しかし宇宙怪人ってわかっても買い続ける人多いな……そんなに宇宙怪人って気にならないものだろうか?

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