第14話 スマホが欲しい!

 おれが部屋に戻ってくると、ハムスター達が揃っていた。

「ユーキ、おいら達スマホが欲しいっす」

 スマホが欲しい?確かに今は、カツオの一本釣りで働いた給料が入ったから買いたい物は買ってもいいとは思うが……

「でも、みんな毎月お金払っていける?」

 毎月のお金を払っていけるのは、ハムケンだけだと思うが……

「頑張るんじゃ!」

「スマホのゲームやりたいッチ!払っていくッチ!」

「俺もたまに仕事するぞ!」

「たまにかよ……まあ携帯ショップ行ってみる?」

 おれの言葉にハムスター達は嬉しそうだ。しかし宇宙怪人ハムスターが携帯の契約出来るのだろうか?





 おれ達は大手携帯ショップに来た。まず店頭にいる店員さんに話しかける。

「新しくスマホを契約したいんですが……ちなみにに五人です」

「そうですかこちらへどうぞ」

 あっさりカウンターへ通してくれた。椅子は二つなので、まずはコタローとおれが座った。残りのハムスター達は後ろで立っている。

「あの……宇宙怪人ハムスターの五人がスマホ 欲しいんですが、スマホの契約できますか?」

「え!宇宙怪人ハムスター?ですか?店長に代わります」

 カウンターの店員さんはかなり驚いて店の奥に去っていった。

 これが普通の反応だよ!今まで出会った人達は宇宙怪人ハムスターを受け入れすぎなんだよ!





 店長はやって来ると、そしておれに小声で聞いてきた。

「あの……ハムスターさん達は人間なのでしょうか?」

 やっぱりそこ疑問に思うよね!しかし……

「怪人なので一応人間です……」

 おれは疑問に答えた。店長は納得していないようだが、話しを進める。

「あの……身分証明出来る物はお持ちでしょうか?」

「え!持ってないっす!」

 コタローは焦った様子だ。店長がさらに話す。

「身分証明出来る物がないと契約出来ません……」

「そうだ、コタローあれがあるッチ!」

「あれがあったっす!」

 コタローは毛の中から何かを取り出した!

「宇宙通行証明書があったっす!これじゃだめっすか?」

 宇宙通行証明書てなんだ?ハムケンに聞いてみる。

「天の川銀河に行くために必要な書類やけん!」

 そうなのか、しかしその書類日本で通用するのか?

「宇宙通行証明書?ですか?その書類では契約出来かねます。免許証などお持ちではないですか?」

 やっぱりそうだよねー!ハムスター達はもちろん免許証なんか持ってない。契約は出来なかった。

「あの、プリペイドsimスマホなら身分証明書がなくても持てますよ」

 店長の一言にハムスター達は喜んだ。ハムスター達はプリペイドsimでスマホを持つ事にした。




 携帯ショップで新品のスマホを買う事はハムスター達の手持ちでは、難しいのでおれ達は中古のスマホを買う事にした。

「これに決めたっす!」

「これがいいんじゃ!」

 ハムスター達はそれぞれ自分のスマホを買った。そして携帯ショップに戻ってプリペイドsimカードを買った。

「ついにスマホが持てたぞ!」

「大事にするッチ!」

 ハムスター達は嬉しそうだ。この後あんな事になるとは、おれは予想出来なかった……





 スマホを買ってからしばらく経った。ハムスター達はスマホを使いこなせているだろうか?

 まずはハムケンに聞いてみる。

「大事に使いよるよ。このスマホ二年は使うけん!」

 そうか!良かった。コタローにも聞いてみる。

「ハムプチズの応援してたらいつの間にか壊れたっす!また新しく買うっす」

「ええー!大事にしろよ!」

 他のハムスター達は大丈夫だろうか?嫌な予感がする……

 ハムニブにも聞く。

「草野球してたら、ボールが直撃して壊れたぞ!スマホもろすぎだぞ!」

「安全なところ置いとけよ……」

 ハムタクにも聞いておこう。

「スマホでレシピ見ながら料理してたら、水没したんじゃ!次は水に強いスマホ買うんじゃ!」

「始めから水に強いスマホ買っておけよ……」

 最後にハムッチにも聞いてみよう。

「ゲームで負けてぶん投げたら壊れたッチ!なんで壊れたか、わからないッチ!」

「ぶん投げたからだよ!」

 結局スマホをうまく使えてるのはハムケンだけだった。

 宇宙怪人ハムスターはスマホもうまく使えないのかよ!

 何のためにショップ行ったんだ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る