第13話 宇宙怪人ハムスターとカツオ漁

 おれとハムスター達はまた父さんに呼び出された。

「父さんなんの用?」

「ユーキとハムスター達でカツオの一本釣りに行きなさい!」

「また仕事っすか!?」

「もう仕事はこりごりッチ!」

 ハムスター達はざわついている。それもそうだ、おれ達は自動車工場で地獄を経験している。

「とにかく行きなさい!じゃないと家から追い出すぞ!」

 おれ達に拒否権はないようだ。嫌々行く事になった……期間は一か月だ。しかしコンビニでバイトしているハムケンはどうなるのだろうか?

「ワシもバイト休んで行くんよ。寂しいからね」

 ハムケンも行く事になった。なんとか乗り切れればいいが……





 おれ達は漁港にやってきた。今日から仕事が始まる。一回漁に出ると三日は船の上だ。おれ達は各自船の上の生活のための準備をしてきた。タブレットに動画をダウンロードしてきたり、寝具を持ってきたりしている。中には野球の道具を持ってきてるやつもいる……

「おうハムスター達来たか。俺が船長だ!頑張ってくれよ!」

 船長が自己紹介してくれた。おれ達は一人づつ挨拶をした。

 他の船員さんにも挨拶した。みんな宇宙怪人ハムスターに驚く様子はない……宇宙怪人ハムスターが働く事って普通なんか!?





 出航の時間がきた。おれ達は素人なので出来る事は少ない、漁場に着くまでは待機する。

「ユーキ待ってる時間に素振りしていいんかぞ?」

「それはやめとこう……」

「ゲームしたいッチ!!」

「夜まで待とうか……」

 おれは好き勝手やろうとするハムスター達をなだめている。

 そうこうしてると漁場に着いた!しかし漁場に着いても直ぐに漁が出来るわけではない。まずは海鳥を双眼鏡で探す事から仕事は始まる。

「おいら目は良いっす。探すっす!」

「僕も目はいいんじゃ!頑張るんじゃ」

 ハムスター達は真面目に仕事に取り組んでいる。

「あそこじゃ!海鳥がいるんじゃ!」

 ハムタクが見つけた!船は直ぐにポイントに向かう。おれ達は漁の準備をする。おれ達は全員カツオを釣り上げる係だ。

 かえしのない釣り針でカツオを釣っていく。一人前になるには二、三年かかると言われているが……おれ達に出来るだろうか?





 漁が始まった。

「どんどん釣ってくっす!」

「入れ食いじゃ!」

「釣れてるぞ!」

 コタロー、ハムタク、ハムニブは経験のある船員さんには及ばないが、うまく釣り上げている。

「カツオ重いッチ」

「これは大変なんよー!」

 ハムッチとハムケンはあまり釣り上げていないようだ。

 ちなみにおれも釣り上げられない……思ったよりも難しいな……

 漁は一時間ほど続いた。一回の漁でくたくたになる。

「疲れたっす……」

「しんどいんよー!」

 ハムスター達も疲れている。毛並みも少し悪くなっている。

 しかし仕事はこれで終わりではない。おれ達は今日乗り切れるだろうか?





 その後二回の漁をおれ達は乗り切った。ハムスター達は毛並みが悪くなったがまだ元気が残ってるみたいだ。

 コタローはハムプチズの動画を見ている。ハムタクは調理担当の船員さんに話しを聞いている。ハムニブは広いところで素振りをしている。ハムッチはゲームをしている。ハムケンはコンビニのお菓子を食べている。

 そうだ、ハムケンからあれ買っておこう。

「ハムケン、ハムビタンZ売ってよ」

「値上がりして1200円よー」

 また値上がりしている……でも仕方ない。買う事にした。

「ありがとうねー」

 これで一か月乗り切れる……といいな。





 一週間経った。まだハムスター達は元気だ。

 二週間経った。ハムケンとハムッチの動きが怪しい。しかしまだハムビタンZは必要ないようだ。

 三週間経った。コタロー、ハムタク、ハムニブもしんどそうだ。しかしこの三人にはハムビタンZは必要なさそうだ。

 ハムケンとハムッチが漁の途中に動けなくなったので、ハムビタンZを飲ませた。

「元気みなぎるッチ!!カツオ釣るチ!!!」

「うおおおおお!!!釣るんよー!!!!」

 ハムビタンZの効果は相変わらずやばい……しかしこれで、この漁は乗り切れるだろう。

 そして、カツオ漁最後の日がやってきた。ハムケンからハムビタンZも五人分買ったから、なんとか乗り切れるだろう。

 ちなみにハムスター達の毛並みは悪くはなっている……毛並みは嘘をつかないね。





 最後の日はなかなかカツオの群れを見つけられない。

「ユーキ、動画見ていいっすか?」

「ちゃんと海鳥探そうよ!」

「ユーキ、僕もまかない作るんじゃ!」

「ハムタクの仕事は海鳥を探す事だよ!」

 ハムスター達をなだめつつ海鳥を探していると。

「あそこに海鳥いるッチ!」

 ハムッチが見つけた!漁の始まりだ!





 漁は二時間続いた。正直くたくただ。ハムスター達も疲れてるみたいだ、毛並みも悪くなっている。特にハムケンがふらふらしている。その時船が大きく揺れた。

「あ、あ、落ちるんよー!!!」

「ハムケーーーン!!!」

 ハムケンが船から落ちた!やばい!しかしどうしよう……釣り堀の時みたいには助けられないぞ!そうだ!

「残りのみんなハムケンを助けてくれ!」

 宇宙怪人ハムスターのみんななら助けられるかもしれない!

「ハムケンー!今行くっすー!」

 残り四人が飛び込んだ。しかしなかなか船の上には戻ってこれない。あれを使うか……

「みんなハムビタンZ飲め!」

 おれはハムビタンZを五人分投げた。ハムスター達はそれを飲む。

「よっしゃー!上に登るぞー!」

「生き残るんじゃ!上にいくんじゃー!」

 ハムスター達は船をよじ登って船の上に上がってきた!

「ハムスター達大丈夫か!」

 船長も心配してくれた。ハムスター達はタオルで少し拭くと、毛はすぐに乾いた。相変わらず宇宙怪人ハムスターの毛はすごいな……





 その後の漁には参加しなくていい事になった。おれ達はカツオの一本釣りの仕事を一か月乗り切った!これで家を追い出されなくてすみそうだ!

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