第10話 ハムニブの草野球

 ハムニブは草野球チームに入った。

「ハムニブ草野球はどう?勝ててる?」

「勝ててはないぞ。でも野球が出来るだけで楽しいぞ!」

「そうなんだ。チームには何人いるの?」

「九人なんだぞ。ギリギリだぞ!」

 ハムニブによると今週末も試合があるらしい。おれと他のハムスター達は応援行くことした。





 ハムニブは二番サードで出場だ。一回の守りに打球が飛んでいった!ハムニブは堅実な守りでアウトにした。

「どんどん来い!だぞ!」

 ハムニブの活躍に周りの仲間は盛り上がる。チームの雰囲気も良いようだ。

 打撃では、三回にチャンスで回ってきた。ハムニブはなんと!スリーランホームランを打った!

「やったぞ!」

 ここまでは良かった。まさかこの後あんな事になるとは、誰も予想してなかった……





 五回の事だった。

「イテテ、すまんもうプレイ出来ないよ……」

 キャッチャーの選手が痛がっている。どうやら足がつったようだ。しかしチームには九人しかいない、試合は続けられるのだろうか?

「すまんコタローキャッチャーやってくれぞ!」

「仕方ないっす。キャッチャーやるっす」

 コタローが助っ人するようだ。コタローは運動神経がいい。それなりにプレイ出来るだろう。その後すぐに……

 ファースト選手と相手ランナーが交錯した!ファーストの選手はプレイを続けられないようだ。

「すまんハムタク、試合出てくれぞ!」

「しょうがないんじゃ。やってやるんじゃ!」

 まあ、ハムタクは運動出来る。なんとかプレイ出来るだろう。

 しかしこれ以上はやばいな……ハムケンとハムッチはそんなに動けないぞ……




 七回の守備に事件は起こった。二遊間にフライが上がった。その時セカンドとショートがぶつかった!二人は起き上がれない。これはまさか……

「すまん二人も出てくれぞ!」

「しょうがないッチ」

「仕方ないんよ……」

 内野が全員宇宙怪人ハムスターになってしまった!ハムケンとハムッチはちゃんと守れるだろうか?そんな事を心配していると、さっそくハムケンが守るセカンドにゴロが転がってきた!ハムケンは取ろうとするも……

「あ、やっちゃったんよ……」

 後ろに逸らしてしまった……しかしその後はなんとか守りぬいた!チームは3-2で勝っているからあと二回守りぬけば勝ちだ!





 八回の守りは外野とサードにしか打球が飛ばなかった。見事に三人でスリーアウトを取った。

 しかし九回に事件が起こる。相手の打った打球がピッチャーに直撃してしまった!何とかアウトにしたものの、ピッチャーはもう投げられない!

「ユーキ、ピッチャー出来るぞ?」

「マジか……体育の授業でもピッチャーやった事ないよ……」

「ストライク入れれば大丈夫だからやってくれぞ!勝ちたいんだぞ!」

 おれまで試合に出る事になってしまった。あと2アウトだが、何とかなるのか!?






 おれはとにかくストライクに投げようと思って投げた!初球を打たれた!サードへとライナーで飛んだ打球は、ハムニブが掴んだ!

「これで2アウトだぞ!」

「あと一人っす!」

「このままの調子でいくんじゃ!」

 ハムスター達が盛り上げてくれる。

「ユーキ、ショートへは飛ばすなッチ!」

「セカンドもダメなんよ」

 とにかくセカンドとショートには飛ばないようにしないと……

 そんな事を思って投げたら、ボテボテの打球がショートに転がった!ハムッチは何とか取ったものの投げられなかった。

 ランナーが出てしまった。なんとかしないと……しかし次のバッターにも打たれた。セカンドにふんわりとしたフライだ!

 ハムケンは追いかけるものの取れなかった。

次のバッターには、おれの投げる球がストライクに入らない。

 フォアボールで満塁になってしまった。

 おれは秘策を思いついた。

「ユーキ、打たせていくぞ!」

「ハムニブ相談なんだけど、ハムニブはピッチャー出来ない?」

「やった事ないぞ。でも出来るかもだぞ!」

 ここでピッチャー交代だ、おれがサードを守って、ハムニブに投げさす事にした。





 ハムニブは振りかぶって投げた!すると見た事のない豪速球が放たれた!

「ス、ストライク!」

 審判の人もびっくりしてる……ハムニブはあっという間に三球三振に抑えた!

「やったぞ!勝ったぞ!」

 ハムニブは喜んでいる。しかしハムニブが投げていたらもっと簡単に勝てたんじゃないか?





 奇跡の勝利からしばらく経った。ハムニブはピッチャーやっているのだろうか?

「ピッチャーはやってないぞ!コタローしか俺の球は取れないぞ!」

「え、ええー!?」

 結局ハムニブはサードやってるらしい。ままならないものだな……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る