第10話
静岡産ひよこが1匹。
静岡産ひよこが2匹。
静岡産ひよこが3匹。
こっこが1匹、2匹、3匹。ぴよぴよぴよ。
「この静岡産ひよこはどこからきたの?」
机の上にぴよぴよぴよ、並んでいた。静岡産ひよこ、こっこ。
「職場の同僚からもらった」
「チョコバナナぴよぴよ、夏バナナぴよぴよ、普通のぴよぴよ」
「ぴよぴよじゃなくて、こっこね」
「ひよこだから、ぴよぴよでいいの」
こっこだし、静岡産ひよこだし、ぴよぴよだし。
きっとそこには大きな違いはないはず。
「この3匹のぴよぴよは私の分?」
「そうそうこっこが2匹で1つのセットで、私がそれぞれ1匹ずつだから。残りのこっこはもみじの分」
それじゃあべにはの分がない。
べにはのぴよぴよを、夕占さんは用意しなかったのかな? まあもらった物だっていってたし、2つで1セットだったらしいから、用意できなかっただけかもしれない。
「べにはの分もいるよね。えっとじゃあ私はこのぴよぴよにしようっと」
普通のぴよぴよを選ぶ。
「えっこの2匹はいいの?」
チョコバナナぴよぴよと夏バナナぴよぴよを、夕占さんは指さす。
「べにはは働いているから、ぴよぴよ2匹あってもいいと思う。私は働いていないから、ぴよぴよは1匹で十分」
私はぴよぴよの皮をむいて、口に入れる。柔らかくて甘くて、おいしい。
「もみじがいいならいいけどさ。なんで普通のこっこなの? 特別感があるほうじゃなくて」
「オードソックスな方が一番おいしいんだよ。それに純粋だし」
何事も普通が一番ってわけじゃない。それでもオードソックスな物の方が、一番こだわりがあるような気がする。なんとなくだけど。
とゆうことで私はチョコバナナぴよぴよと夏バナナぴよぴよを冷蔵庫になおす。もちろんべにはにメモ書きを残すのも忘れない。そうじゃないと、べにはは食べてくれなさそう。
「そういえばべにはがもみじの分って冷凍庫にアイスをいれてたよ。ハーゲンダッツぶどう味」
「たっかいアイスだ、うれしい。お風呂に入ってから食べる」
ハーゲンダッツは高い、そして買い物へ行けない私は手に入れることはあんまりできない。そこでハーゲンダッツを食べることができる、それは純粋にうれしい。
「そうだね。なんでべにははハーゲンダッツ買ってきたのか分からない」
「うーんお盆だからじゃない? お盆といえばごちそうだよ」
確か8月13日から昨日までお盆だったのだ。それでべにはは私の分のごちそうも買ってきてくれたに違いない。
「私はシフトの都合上昨日と今日は休みだったけど、べにははお盆休み取ってなかったような気がする……」
「まあいいじゃない。お盆に休まなきゃいけない法律はないし」
そんなことよりもアイス、アイス。
本当にべにはは気がきく子、私のことを忘れていないから。
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