第9話 100均閉店セール

 バス停から降りると、暑かった。


 あたしが今から行くのは、小明寺垣内のバス停近くにあるスーパー。たしか本姫ほきさんが働いている図書館がここから少し離れた場所にあるはず。暑いから、そこまで歩いて行く元気はないけど。


 今からスーパーでお買い物、というよりもスーパーの近くにある100均でお買い物。


 実はこの100均、今閉店セール中なのだ。全部20%割引なのだ。そこで色々安い物が手に入るってことなので、わざわざやってきた。


 バス代往復440円を補えるよう、頑張るぞ。おー。


 季節感が分からなくなるハロウィングッズやクリスマスのグッズを見つつ、店内を歩く。


 あっサンリオのキャラクターグッズを発見。かわいいし、気になる。保冷バックは夏に使える物だし、買っておこう。


 靴下。これで100円は安すぎる。ハムスターや猫のかわいいデザインの靴下もある。よしこれは買っておこう。


 あとはカイロも。これは冬になったら使うから、今は夏だけど買っておこう。


 100均のセール。それはお金のないあたしにとってありがたい。あたし一応百貨店の本屋で働いているけど、百貨店のセールに参加出来るほどお給料をもらっているわけではない。そこで100均のセールは純粋に楽しめるから、好き。


 そこでいっぱい買っちゃって、重いリュックを背負ってバス停へと行く。20%割引で、たくさんの物を買ったので、もしかしたらいくつか無料になったんじゃないかな? そうだとすると、うれしい。


 太陽が元気な中、バスを待つ。バスは1時間に2本しかこないのだけど、運がいいのか少し待つだけで済んだ。


 そしてバスで駅まで行き、そこから少し歩くだけで帰宅する。


 駅近くで住んでいると、こういうときはありがたい。仕事だって、徒歩で行けるし。


「ただいま」


 平日の昼だから、家の中には誰もいない。べにはは仕事へ行っているから、当然だ。


 とりあえず手を洗って、ミネラルウォーターを口に運ぶ。これで暑い外を歩いて消えていった水分が、補充されたはず。


「さびしいな」


 つぶやいた声が、空に消えていく。1人の寂しさが、ここにはあった。

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