第7話

「さっここが私と稲荷の部屋よ遠慮しないで入ってください」


 玉藻さんの案内に従い、着いた部屋は最上階で半フロア丸々使っており一部屋の広さが俺が住んでいた部屋より広いことに格差を感じてしまう。


「こちらは半フロア使ってますが向かいの部屋は通常通りの部屋になっていますの安心してください」


 稲荷ちゃんが気を使い教えてくれた。今の俺にはこの家は価値観が違いすぎてどうしたらいいかわからずソワソワしていた。


「まったくだらしないわね。この程度の部屋には早く慣れないと今後大変よ。ここは私が持っている家の中でも安い部類なんだから」


 これで安い部屋の部類なんて高い部屋になったら一体いくらでどんな部屋になるんだよ。俺は、玉藻さんとの金銭感覚の違いに圧倒されてしまう。


「裕二さん裕二さん、この部屋からの景色とても良くて私好きなんです。ほらほら来てくださいよー」


家に帰ってきて油断したのか耳ともふもふの尻尾がポンッと出てきてしまっている。


「あっあの、これはその」ぷるぷる震えながら玉藻さんの方をうるうるとした目で見つめる。


「は〜まったく稲荷あなたって子はさっき言ったことをもう忘れたのですか?これは、もう」


「玉藻さんいいじゃないですか、それにこんな可愛らしい姿見れて俺は嬉しいですし。かわいいは正義ですよ」


「は〜まったく裕二さんは優しすぎますね。人間社会で生き抜くにはちょっとした油断が命取りになるんですから、そのおかげで昔何人が犠牲になったことやら」


 玉藻さんが、稲荷ちゃんに厳しくするのは昔のことを知るからで、稲荷ちゃんになにもあってほしくないという思いからくる厳しさなのだろう。


「また私をかわいいってもうお嫁になって裕二さんにあんなことやこんなことをきゃっもう裕二ったらまだ早いですよ〜でも、でも裕二さんにゃら」


 あっまた稲荷ちゃんがどっか遠い所におーい戻っておいで〜、尻尾が凄い勢いでブンブン揺れてるしその姿を見て玉藻さんが頭を抱えてるよ。


「稲荷あなたが裕二さんに夢中なことは理解しました。ですがもっとしっかりしなければ裕二さんに危険が及ぶかもしれないのですよあなたが原因になった時はどうするつもりなのですか?」


「うっそれはう〜ごめんなさい。もっと気をつけます。でも、裕二さんもいけないんですよ。こんなホイホイとかわいいとか言ってきて、見れて嬉しいなんて言われたら」


「ま〜今までそんなことを言われる機会もなかったでしょうから仕方ないとはいえ私の娘なんですからしっかりしなさい」


「あの玉藻さん1つお聞きしたいのですが玉藻さんは確か白面金毛九尾の別名があるって言ってましたね。それってつまり玉藻さんは尻尾が9本あるということですか?」


「裕二さん、お母様の尻尾はそれはもう凄いんですよ。ふわふわもふもふで毛並みも見事で尻尾に包まれた時なんてもう幸せなんて言葉じゃ足りないくらいの極楽なんですから」


「ふふっそうですね。自慢の尻尾ですからね手入れもしっかりとしてますから、でもこれは簡単にはお見せできませんよ。見れるとしたら稲荷ちゃんの婿になって私の息子になってくれたら」


 稲荷ちゃんの尻尾や耳だけでも凄いのにそれ以上なんて気になって仕方ないじゃないか。でも見るためには稲荷ちゃんと結婚しないといけないのか、うが〜なんなんだよその選択肢は見たいのに見れないがこんなに辛いとはおもいもよらなかったな


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