第6話
家紋の件はとりあえず置いといて引っ越し作業を再開しようと思ったらいつの間にかほとんど終わっていた。
家紋のことを話している間に引っ越しセンターの残りのメンバーがやっていたようだ。
「さすがの手際ですね。これなら確かにこちらは何もすることはないな」
「荷物を詰め込んで掃除をしたら終わりですので玉藻様達はどうぞ新居の方へ向かってください。こちらは私どもがやっておきますので」
「では、頼むとするかの。そうじゃこれは今日の依頼分のとは別の手間賃じゃ、終わったらみなをねぎらってやるが良い」
「これはありがとうございます。今後もどうぞ我が社をご贔屓に」
「ふむ、ヤタにも玉藻が礼を言っていたと伝えておいてくれないか。改めて挨拶にも伺うとも」
「わかりました。必ずお伝えします、お荷物もすぐに新居へお運びいたしますのでご安心ください」
荷物などを任せて玉藻さんと稲荷ちゃんと一緒に家を出る。最後はいい思い出はなかったがそれでも俺が今まで住んでいた家だから出ていくとなると寂しいものを感じるな。
「裕二さんいきなり出ることになって寂しい気持ちもあると思いますが、これからは裕二さんを支えていけるように頑張りますので末永くよろしくお願いします」
末永くか、もしこの娘と結婚したら一体どんな未来が待っているんだろうか?
一度は死のうとした身だ、なにが来ても怖いものはないと言いたいが玉藻さんの話では俺を狙うバカも中にはいるかもしれないから用心はしとこう。
それに、俺を襲うということはそばにいる稲荷ちゃんにも危険があるかもしれないんだ。
「ふふ裕二さん大丈夫ですよ。その男らしい顔もいいですが裕二さんはしばらくはゆっくりして大丈夫ですからね。確かに危険も寄るとは言いましたがそれ以上に、力になってくれる者がたくさんいますから。あなたが知らないだけどこの世の中には魑魅魍魎な存在が溢れかえっていますからまずはそちらに慣れないとですね」
「さっ話している内に新居に着きましたよ」
新居に着いたと言われ、周りを見てみるとそこにはいわゆるタワマンという物がそびえ立っていた。
「このタワマンそのものが私の持ち家だから好きな部屋を使えるわよ」
あれっなんかとんでもない言葉が聞こえてきたぞ。なんかこのタワマン全部が玉藻さんのものだと言ったように聞こえたが普通一部屋とか金持ちでも階そのものを買うことは聞いたことあるがタワマンそのものが持ち家だと一体いくらしたんだろうか?
「たまたま知り合いに不動産を、扱っている人がいて安く手に入ったのよ。まずは私と稲荷の部屋に行きましょうか?荷物は向かいの部屋に届けるよう言っておくから」
言われるがまま部屋に向かっていくと忙しそうに動く一人の女の人がいた。
「火車ちゃん今日からここに住む裕二君よ、住む部屋は私達の向かい側にしようと思うから」
「玉藻さんおかえりなさい、稲荷ちゃんは今日もかわいいわね〜。そして、その子が例の」
「あらっ私にはなにも無いのかしら?私は可愛くないみたいじゃない?」
「もう玉藻さんたらいじけないでくださいよ、玉藻さんはかわいいよりはキレイ派ですからね。いつ見ても美しいですわ」
「それならいいわ、ふふっ火車ちゃんは本当毎日忙しそうね。ま〜それがあなたらしいけど」
「今日からお世話になる阿部野裕二ですよろしくお願いします」
「ご丁寧にありがとうございます。玉藻さんよりここの管理人を任された火車と申します。玉藻様や稲荷ちゃんのことは?」
「大丈夫よ、裕二君には私達のこと話してるし、それにこの子は八咫烏さんのお墨付きも貰ってるから」
「やっ八咫烏様のですか?そっそれは申しわけございません。私のようなものがお声をかけたことをお許しください」
八咫烏さんの名前を出すだけでこの怯えようは、やはり八咫烏さんは只者じゃないってことだよな。
「いやいやこれからお世話になるんですから遠慮なく話してください。正直この状況をまだ理解できていないので時間ある時に色々教えてください」
「私なんかで良ければ忙しく回っていますが性分ですので気にせず話にきてください」
新居についてすぐ新しい出会いがあった。この出会いがいいものだといいな
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