scene4 : 来週パイセンくるらしい ☆
◇
吹奏楽部に乗り込もうとする茜を止めるためには、交換条件が必要だった。
何か先輩が納得できて、気が晴れるようないい方法。それを俺達で見つけようって、そう提案してやっと止まってくれた。(かなり渋々だったけど)
あれからもう一度だけ先輩を見かけた時に教えてもらったんだけど、先輩の名前は鯉田先輩っていうらしい。
◇
学園祭まであと二週間を切ったある日。
俺が所属してる1年3組の中で、誰からともなく、カラオケに行こうって話になっていた。
それからいつの間にか幹事がたって、隣のクラスの人達まで一緒に行くことになって…
「ペケくん、日曜日のカラオケ誘われた?」
「誘われてるよ。朝園は…」
「じゃあ、一緒になるね」
「ホントに?! 朝園も来るんだ?」
4組の人も一緒にって聞いたとき、もしかしたら4組の朝園も一緒になるんじゃないかって期待してたら、やっぱそうか…
朝園もカラオケ来るんだ……マジか……うわ…すげえ楽しみ…
「邪魔すんでーー」
「あ、来た」
「うぃーす」
「おう」
「遅かったねアカネ」
「クラスで学園祭の何か決めとってなぁ」
「なるほー」
秘密基地に来るのは今日で二回目。
今回は朝園だけでも部屋に入れるようにしてあったみたいで、一番最初に朝園が到着して、次に俺が着いて、最後は茜だった。
今日集まるのはこの三人だけらしい。
「そういえばさ、茜と朝園のクラスって、模擬店何やんの?」
「うちのクラスは冷凍の果物の…バー? みたいなんやって」
「へー! いいじゃん!」
「洒落とるやろ? そっちは?」
「俺のクラス、焼きそば」
「あー、っぽいな」
「焼きそば…っぽい……?」
「顔が」
「焼きそば焼いてそうな顔……」
「うちのクラス………」
「…………璃々のクラスは…?」
「…………」
「……え?」
「…いや、なんやねん…?」
「…………………ジュース……」
「ジュース……?」
「ジュースって…」
「ペットボトルの。冷やして売るだけ」
「………模擬店で、か?」
「まぁ…うん…」
「………」
「……ほぉ〜ん…………………」
「………………」
「……………………」
「……………っぽいな……」
「ちょっとそれどうゆうこと茜??」
「ぷはっ」
「…は? ねえ今笑った?」
あ、やべ…
「ちがっ! 笑わないように耐えようとしたんだけど…」
「へー…そんな態度とるんだ?」
「なはは、ペケそれはあかんわ〜いくら璃々がナメた商売で楽に儲けてそうやからって――っい゛っっった! 何すんねん!!」
朝園は茜のスネを蹴ってから、二人用のソファを占領するように、それでもスッと座った。
◇
「はーーーーーーん…」
「この写真の彼が、
「人間関係、いろいろあるよなー、高校二年生だもんな…………………え、このジュースうっめ!! マネージャーさん! このジュース超うっめーんすけど!!」
「えっ、それ
「まあまあまあ! 大丈夫っす! 仲いいんで!」
「はぁ…もう行きますね?」
「あはい!お疲れ様です!」
「………な〜〜〜、この子な〜、かわいそうだけど、部活に戻りたくもないのか〜…このままじゃモヤモヤするよな〜…ん〜〜〜〜……」
「お疲れ様でーす、あ、鯛津くんお疲れっす」
「うぃすYUYA、つかれーっす」
「それ、誰の陰キャコスですか? ボクも知ってる人っすか? 」
「ん? あいや……………ん……ああ…ほぉ……たしかに………言われてみれば……おおーー………はぁ〜〜ん……」
「………?………ズズズ……」
「なるほどなー…」
◇
「そーや、土日明けぐらいに、パイセン、学校来るらしいわ」
「あ、そうなんだ」
「でな、いっぺんあの先輩に会ってみたいってパイセンが言うとーねん」
「あの先輩…って………あ、鯉田先輩?」
「おん」
「あ、あの話…?」
「あー、朝園にも話してあるの?」
「うん、茜から聞いた。そのさ、吹奏楽部の…って、誰? 一年なんでしょ?」
「いや…それは…」
「………」
「鯉田先輩的にはなんていうかさ…傷つけ返したいわけじゃないんだって。だから…」
「ウチが知ったら何かやるやろー、言うて、どいつが主犯かとか教えるつもりないんやって」
「ふーん」
「まあ、それの話で、パイセンがなんか思いついたらしいわ。やから続きは、週明けてパイセン来て
「うっわ…鯛津先輩紹介してもらえるんだ……はあ〜〜〜、緊張するんだけど…!」
「……いや……まあ紹介はするけど…」
週明けは鯛津先輩紹介してもらえるのかー、楽しみだわ…!
楽しみっていえば、その前に、週末はめちゃくちゃ大人数で、しかも朝園も一緒にカラオケでしょ?
で、もうすぐ学園祭もあるでしょ?
もちろん、スカウト候補を探すのも忘れないように…
何これ…充実しすぎじゃない…? うっわ……笑っちゃうよなこれ、楽しみ過ぎて…!
「…あんまええとこばっか期待しすぎたらあかんで? ペケ……」
「ははっ! 分かってるって! ほどほどにね? オーケーオーケー!」
「………」
「………」
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