scene4 : 秘密基地


もうちょっとしたら、朝園が来るらしい。

さっきからしばらく座りもせずに部屋を見て回ってたけど、色々気になって仕方ない!


一個一個そこにいる茜に聞いて回りたいくらいだけど、あんまり、コレ何? コレ何?って尋ねてばっかなのも鬱陶しいかって思って、後は一旦心に仕舞っておくことにした。

これからちょっとずつ聞いていけるって思うのもまた嬉しいしね。


これなんなんだろうな…って心の中で思いながらウロウロしてる途中のこと。

ふと、今朝のアレを思い出した。

茜と朝園の…。

思い出すと心が嫌な感じでモヤッとする。


「なあ、茜…今日の朝さ、朝園とすれ違った時……なんだったの? あれ…」

「ん? あれって何よ?」

「あぁ、なんていうか……さ。朝園と、学校で挨拶とかって…」

「ああ〜〜分かった分かった。そうゆうことか。学校で璃々と話さんのか、ってことやんな?」

「ん、そうだね… うん」

「学校ん中では話さんようにしとんねん。基本はな」

「なんで?」

「ん〜〜〜〜。まあ、学校ん中で、璃々って、真面目ちゃんで通っとるやろ?」


そう言われて改めて考えてみると…少し前までは朝園がこんなクラブにいるなんて思ってもみなかったし、茜みたいなタイプと仲が良いっていうのも、最初は全然しっくり来なかった。

端から見たら(勿論俺もそう思ってた)ただ楚々そそとした優等生で…


「その今まで積み上げてきたイメージを邪魔するわけにはいかんやん? ウチは評判よーないからな」

「そっ…か……」

「やからウチら、学校じゃあほぼ話さんで」


―――理屈は分かる。

分かるけど……なんか寂しいな、それ…



インターホンが鳴り響いた。

画面に朝園の姿が映る。黙ったままこっちをじっと見つめて、『分かるでしょ?』の圧でこっちの行動を促している。


茜が一言 返事して、エントランスの扉を開ける。そこに入っていく時、朝園の後ろを、同い年ぐらいの三つ編みの女の人がついてきてるのが見えた。


「朝園の後ろの人は?」

「ああ、メンバー」

「マジで? ほ〜〜」


そっか〜、あの人もメンバーか!

どんな人なんだろ。ぱっと見は大人しそうな人に見えたけど…


部屋を歩き回りながら待ってたら、茜が玄関まで歩いて行って、ドアの鍵を開けた。

今の短時間でも鍵かけてたんだ。そうゆうのしっかりしてるんだな…茜。なんか端々で見直しちゃうんだよね。


ドアがこんこんノックされた後すぐ、ガチャッて音がする。開いた入口から先に入ってきたのは、さっき初めて見た三つ編みの人だった。

その人は、玄関で出迎える茜に向かって開口一番…


「え、アカネち、今日香水エロいね?」

「だまれ!」


その瞬間、

あ、なんか上手くやれてそう…って思った。




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