scene5 : 家庭科室
◇
「はぁ〜………………二人とも、知り合いだったのかよ……」
俺達三人は空きっぱなしの家庭科室に戻ってきて、椅子を3脚持ち寄って話していた。
「めっちゃ仲ええで。知り合いどころやないわ」
完全に弄ばれてたってわけだ…。
マジでもう頭ん中めちゃくちゃだよ…。
「ぷっ」
茜はまた、さっきから何度も繰り返してるように、急に吹き出した。
「くく…! はっはっは! あかん! 思い出してもうたおもろすぎる!」
俺は…なんで自分がここに居るのかもよく分からないし、もはや何も考えたくない…。
「ガチで足滑らせて…璃々の………迫真のきゃあああっ!! あーははは! ツボった!! あかん! ははは!! ずっとおもろい!!」
「あかね! はやく治まれ! もう!」
「はは…………ふぅ……………………」
「ぷっ」
「ん゛ん゛っ…」
俺…どんな気持ちで居ればいい? 好きな人にフられて…その好きな人がまだ前にいて、一緒に会話してる意味不明な状況でさ…。
「それで、どうかな? さっきの話…」
「色々あったけど、なんだかんだ楽しかったやろ?」
朝園と茜がそう言ってくる。
茜こいつ……楽しかったってなぁ…
「はぁ…もう何言われても何も感じない…」
「ごめんて!」
「あはは…ごめんね?」
それは…ずるいじゃん…。朝園に言われたら許しちゃうって………
「そのクラブってのは、さっきみたいな事やっとんねん」
「…人を弄ぶ感じのことか…?」
「そこちゃうって! もう半分の方や!」
「自分が告白した時、いい感じにすごかったやろ?」
「ああ…提案してくれたやつね…スゴカッタネ」
「ああいうのみたいに! いろんな事を、陰から、表から、ドラマチックに演出する!っちゅークラブや!」
「百聞は一見に如かず、言うやろ? やからまずは体験してもらったわけや」
「はあ…」
「あ、ちなみにやな、ジブンの演出のやつ、ウチはちゃんと考えてやったで? はじめからフラレる前提ってわけやなかったから」
「 ジブンは、ちゃんと告って、ちゃんとフラレたから。それはウソやないで」
「ぁ〜〜〜……!そこはウソであってほしかった… 何でそんな…追い打ちかける事言うの?…優しくしてくれよ…」
「いや…あれもこれも、普通に引きずるよりはエエかな〜思って………で、どう?」
「そのクラブに、ジブンも入らへん? って勧誘やねんけど…」
そんなクラブ入るわけ…
「どうかな?」
「ん…ん〜………」
朝園もいるんだよなぁ……あぁ〜〜もうくそ……入りたい…………っ。
あ〜〜、もうなんなんだよそのクラブ!
なんで朝園がそんなとこにいんの…?
も〜〜、頭と心がしんどい…
「…………は……」
「ん!?………今、入るって言うた?」
「ぅぅ〜〜…いや…まぁ……ぁ〜…言ったよ…! 入る! 入るよ…!」
「ホンマかっ!! やった! 璃々!」
「うん、よかったね、茜」
そんなに新しいメンバーが欲しかったのかな? 俺が入るのでそんなに喜んでもらえるならまぁ…良かった…。
初めは最悪な印象だったけど、仲良くは、やれそうなのかな…
「よろしくな! ペケ!!」
「あ、ん………」
「…………ん?」
「…?」
「………『ペケ』って……俺のこと?」
「おん! 」
「………?? …初めてそんな呼ばれ方したんだけど……名前と全く被ってない……よね? 俺の名前、鈴木流星っていうんだけど…?」
「そんなん知っとるわ! 璃々に告って、フられたから! 自分のあだ名! ペケ( ✗ )な!」
「は………っ?!」
「あ、呼びやすいかも。よろしくね、ペケ君?」
「いやっ…は……ん゛〜〜っ!!」
ひとつ……分かったことがある。
朝園にこんな感じで話してもらえるのは正直めっちゃ嬉しいし、
なんならまるで思い描いてた夢が叶ったみたいで、感動もしてる。
朝園に言われると、色々全部受け入れかけてる自分がいる…。
ただ、茜については言うまでもないし……
この茜と一緒にいて、めちゃくちゃ気が合ってる朝園も……ね…
こいつらは、
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