第7話
「おじさん、真侑さん、信じてもらえないかも知れないけど、お母さんのお腹にいたあーちゃんと夢の中で昨日の夜会ったんだ」
「子どもを信じない親はいない。まだ、親じゃないけどな。俺はちこちゃんを信じる」
「私もよ。何を話したか教えてちょうだい」
二人に包み隠さず夢であーちゃんと話したことと、見たことをすべて話した。
「孝さん、私警察に行く」
「行ってどうするんだ?証拠もないんだ。まともに取り合ってくれる訳がないだろう」
「ソウダヨ……」
「ソウ、ソウ」
「あれ、今の声って……」
「私、何も言ってないよ」
「俺もだ」
真侑さんがはっとして、くるみ割り人形を見上げた。そこには1匹のネズミがいた。そのネズミには頭が二つあった。
にゅるるる~~と黒い影が天井からゆっくりと下りてきた。
「ひぃぃーー!」
真侑さんとおじさんの顔は恐怖でひきつっていたけど、真侑さんは私を両手でぎゅっと抱き締めてくれて。おじさんはがたがと震えながらも両手を広げて黒い影と対峙した。
「何があっても真侑とちこちゃんは渡さない。連れていくならこの俺を連れていけ!」
鬼気迫る迫力に黒い影の動きがぴたりと止まった。
「あなた、もしかして………」
黒い影をじっと見ていた真侑さんが何かに気付いた。
「くるみ、キキ、ララ、お願い。ちこちゃんを守って!」
真侑さんが叫ぶと同時に双頭のネズミとくるみ割り人形が黒い影に襲い掛かった。
「ぎゃぁぁーー!」
喉を噛みつかれ床の上をのたうち回る黒い影。それはやがて人の姿へと変化していった。
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