第8話
コロス。
コロス。
カレハワタシノモノダ。
アノオンナモ、アノオンナノガキモジャマ。
コロス。
首を手で押さえながら、髪を振り乱しふらふらと立ち上がったその人は私から大切な人たちを奪ったあの人だった。
顔面蒼白で瞳孔が開いた目は真っ赤に充血していた。
(アハハ。ばっかじゃないの。私に敵う訳ないじゃん。世界は私を中心にして回っているのよ。私は愛されて当然の存在なのよ)
凶暴な光が眼にギラギラとみなぎって、あの人の心の声が聞こえてきた。
口は耳まで裂け、ニタニタと愉しそうに笑っていた。
「生き霊は人を呪い殺す力をもっている。でも、人を呪えばその呪いが必ず自分に返ってくる。母がよく話していたわ。あなたは姉にしたように、母にも憑依し、姉だけじゃなく母も呪い殺そうとしたんでしょう?」
真侑さんの問い掛けにあの人は何も答えなかった。
「姉も母も呪い殺すことが出来なかったから、直接手を下したんでしょう?鞠子さん、黙っていないで何か言ったら?」
「六花さんととちこがきみに何をしたというんだ。何も悪いことはしていないはずだ」
真侑さんとおじさんの毅然とした態度にあの人はかっくりと首を垂れると、すっーと消えてしまった。
「怖かった」
「私も……」
おじさんと真侑さんがへなへなと膝から崩れるようにその場に倒れ込んだ。
「真侑さん、おじさん大丈夫?」
二人に駆け寄ると、
「ちこちゃんがあの女に連れて行かれなくて良かった」
「真侑もちこも無事で良かった」
真侑さんとおじさんが涙を流しながらぎゅっと強く抱き締めてくれた。
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