第45話045「C級クラン『戦乙女《ヴァルキュリー》』(3)」
「ふぅ〜、これで一件落着だな」
「「「どこがよっ!!!!」」」
有紀がさも解決したような一言を言うと三人から思いっきりツッコまれた。
「あんた、下層の階層ボス攻略なんて⋯⋯本気で言ってんの?!」
渚がいつもの調子に戻って有紀にガンガンツッコんでいく。
「もちろん! だって今後のチャンネルのこと考えたらさ〜、やっぱ下層攻略は絶対じゃん?」
「うっ?! そ、それは、そう⋯⋯だけど⋯⋯」
「それに、C級で女性だけのクランで下層攻略は国内ではまだ数えるほど。これがどういうことか⋯⋯渚にはわかるだろ?」
「希少価値っ! 付加価値っ!! 圧倒的映え要素、満載ぃぃぃ!!!!」
渚がカ◯ジのように吠えまくる。
「そゆこと。ってなわけで、これからまたよろしくな、亜由美。いや⋯⋯リーダー!」
「っ!? ゆ、有紀⋯⋯」
「へへっ! とりあえず、そんなわけで早速明日から始めようぜ、Dストリーマー! まずは45階層から上を目指して⋯⋯」
「何言ってんの、有紀? あんたらだいぶナマってんだから45階層なんて無理に決まってるでしょ? まずは下層入口の30階層からよ」
「は? はぁぁぁ?! 30階層だとぉ!」
「ちょ、ちょっと、亜由美! いくら何でも30階層はあまりに私たちを舐めすぎてない?」
「あら? じゃあ渚、実際試してみる?」
その後、すぐに30階層へ行き、二人に魔物と戦ってもらった。
「うおっ! あ、あぶなぁ〜?!」
「ちょっ⋯⋯な、何でよ?! 何でこんな雑魚に⋯⋯ここまで苦戦してんのよ、私たち⋯⋯!?」
ということで、二人には今の実力を充分知ってもらった後、私と琴乃が助けに入って事なきを得た。そして、
「「ご、ごめんなさい〜〜〜!!!!」」
二人にめちゃめちゃ謝られた。
********************
それから私たちはまた一から出直した。
毎日ダンジョンに籠り続けて、そして全員がついにレベル50を超えた。
ダンジョンの階層の数字と
ちなみに、4人の中で一番レベルが高いのは私と有紀でレベル58。これなら、下層階層ボスのメイジゴーレムに負けることはない。
いろいろあったけど、でも、そのおかげで以前よりもクランの⋯⋯私たち四人の絆は固くなった。
その後、私たち四人は本来のDストリーマーに戻り、人気も復活してきた⋯⋯いや、以前よりも視聴者さんが増えた。それに、
:いや〜やっぱり『
:おう! ただ美少女だけじゃなくちゃんと強いからな!
:ただのアイドルDストリーマーとは違うのだよ〜
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
こんな感じで、今では『見た目』よりも『実力』を評価してくれる視聴者さんの声が多くなった。
そうして、視聴者さんとの絆も取り戻し、一つずつ努力を重ねた私たちはいよいよ
「いよいよ⋯⋯明日だね」
「そうね」
「ちょっと怖いけど⋯⋯でも、それよりもワクワクする!」
「うん! 今の私たちなら下層の階層ボス『メイジゴーレム』に絶対に勝てるっ!!」
有紀に、私に、琴乃に、渚⋯⋯皆がこれまでの努力で得た自信を漲らせて言葉を放つ。そして、
:頑張れ!
:生配信絶対に観る! 見届けるぞ!!
:がんばってぇー!
:みんなの努力はここにいる俺たちが誰よりも知っている! 今の
:頑張ってください!
:( ゚∀゚)o彡゜フレー!( ゚∀゚)o彡゜フレー!( ゚∀゚)o彡゜フレー!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
と、私たちの言葉を受けた視聴者さんからのたくさんの応援コメントがチャット欄を賑わす。
明日——私たちはついに新宿御苑ダンジョン49階層『下層』最深部⋯⋯階層ボスに挑む!
********************
「それじゃあ、いくわよ⋯⋯!」
「「「おうっ!!!」」」
そうして、私たちは48階層から49階層へと降りた。目指すは階層ボス部屋。
「ちょっと〜、道わかってるわよね、有紀?」
「わかってるって! |一昨日おととい》、あれだけ確認したんだから!」
実は、私たちは一昨日にも49階層に降りていた。というのも、階層ボス部屋に最短で行くために事前にボス部屋への道を確認していたのだ。
ただ、それだけ慎重にしているからといって決して実力が無いというわけではない。むしろ、現時点で私たち四人は下層階層ボスの『メイジゴーレム』よりも強くなっている。これは驕りなどでは決してなく、
その上で、必勝をさらに確実にするべくしたのが一昨日の『ボス部屋への最短ルート確認』である。
準備は万端。驕りなし。
:ついにきたな、49階層⋯⋯下層最深部
:下層のエリア環境は砂漠地帯だからてっきり砂漠かと思ったが、下層最深部は神殿の中になるんだな
:何か薄気味悪いな⋯⋯
:んなこたぁ、どうでもいいんだよ! それよりも⋯⋯頑張れ、
:ちょっと前まではチヤホヤされて調子乗ってんなって感じで嫌いだったが、今の
:
:頑張れーっ!!!!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
そして、同接している視聴者さんたちからも熱いメッセージが続々と届く。
絶対に負ける戦いじゃない。必勝しかない。
視聴者さんも私たち4人も⋯⋯誰もがそう思っていた。
しかし——その『必勝』は
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