第38話038「新宿御苑ダンジョン30階層『下層入口』とオメガ完全体(イミフww)」



「やってきました、新宿御苑ダンジョン!」



 週末土曜日——俺は今週もまた新宿御苑ダンジョンへやってきた。


 俺のダンジョン探索活動は『土日祝祭日』を基本としている。もちろん学生だからだ。なので、本日が2回目の配信となる。


「まだ炎上は続いているようだがそんなの知ったこっちゃない。別に、こっちから視聴者にコンタクト取る気なんてないですしおすし」


 チャット機能をオフにした今、ダンジョン探索の配信映像を流すだけのチャンネルと化したが、しかし今はそれでいいと結論づけたので問題はない。


「それよりも、今回は衣装を新しくしたからそれはぜひ観てもらいたい。本当なら視聴者の反応を知りたいからチャット機能をオンにしたいのは山々だけどそこはグッと我慢だ。まぁでも絶対かっこいいと思ってくれるだろう。だってかっこいいんだもの」


 そう、実は昨日朝のHR前に佐川と話をしていたとき、ちょうどオメガの衣装の話となり、佐川の衣装の提案が想像以上に良く、俺は早速その衣装を探しに放課後『激安の殿堂』へと赴き、衣装をゲットした。


 そして、俺はそのまますぐに家へ急いで帰り部屋にこもると早速衣装を着てみた。


「おおおお⋯⋯か、かっこ、いいっ!!!!」


 俺は感動に打ち震えた。


「俺はなんてバカだったんだ! 変装するならこれくらいしないとダメじゃないか!」


 その後、全身鏡の前で小一時間ほど『映えカッコイイポーズ』を練習。俺はさらにDストリーマーオメガに磨きをかけた。


——そして、現在に至る


「よし! 炎上後だが、気にせず気合い入れてダンジョン配信するぜ〜!」



********************



「さて、じゃあ先週の続きからといきますか」


 先週のあの初配信炎上回は『中層』の最終29階層で階層ボスのレッドオークを倒したまでだったので、俺は30階層へと『転移陣ポータルジャンプ』で移動する。


 ちなみに、この『転移陣ポータルジャンプ』は10階層ごとに移動できる転移装置だ。なので、探索者シーカーは10階層ごとではあるが移動ができるのでラクなのだ。もちろん往復可である。これもダンジョンの一部らしい。


「いや〜、こんなの異世界あっちにはなかったけどな〜。こんなのあったらどれだけ楽だったことか⋯⋯」


 俺は異世界あっちでダンジョンに潜った時のことを思い出す。異世界あっちのダンジョンはこんな転移装置などはなかった。いや、あるにはあったが、それは階層ボスやダンジョンボスを倒した後にだけ現れるものだったのだ。


「あれ? そうやって考えると現代ここのダンジョンって探索者シーカーにとって優しくて便利な設計になっているな〜。偶然か?」


 そんなことを考えながら、俺は30階層へ転移した。


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【新宿御苑ダンジョン30F(下層入口)】


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 転移陣ポータルジャンプで飛んだ先に『新宿御苑ダンジョン30F(下層入口)』の看板が目に入った。


「新宿御苑ダンジョン30階層。ここからが『下層』⋯⋯ていうか暑い!」


 下層入口である30階層に到着した俺の最初の感想は「暑い」だった。それもそのはず、下層は『砂漠地帯』なのだから。


 ちなみに、ダンジョンの中ではあるが目の前には青空が広がり、ギラギラと太陽の光が照りつける。あと砂漠地帯ではあるものの、周囲には『神殿の廃墟』のようなものが点在しており、そこがちょうど日陰となっている。


「あそこで着替えるか」


 俺はアイテム『ストレージ(最高)』からオメガの新衣装を取り出し着替えに入る。


「フフフ、いよいよ今日は新衣装⋯⋯『オメガ完全体』のお披露目だな」


 情熱が止まらない。



********************



「さて⋯⋯と、とりあえず先週までの中層の魔物はすべて一撃破壊ワンパンだったが、果たして下層の魔物はどんなんだろうな?」


 着替えた俺はそんなことを考えながら配信の準備をする。


「ふ〜、これでよし。あとはドローンカメラの配信ボタンをオンにするだけ⋯⋯。おっと、ちょっと段取りを確認しようか」


 そうして俺は昨日考えた段取りを確認する。


「とりあえず炎上の件はサラッと流してぇ⋯⋯魔物は、もし下層でも弱いようなら配信を意識して『激闘感』を演出してぇ⋯⋯と。うんうん『映え』って大事だよなぁ〜」


 一通り、段取りを確認した俺はドローンカメラの配信ボタンを「ポチッとな!」した。

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