第11話

ハイトと御影が交互に交差して

走って行く。

砂埃が舞い上がり、土煙が噴出する。

ハイトと御影が空中でクロスした。

「無人ハイキック」

御影がそう叫ぶと、勝手にボールが

ムラカミ目掛けて猛烈なスピードで

襲い掛かった。

「こしゃくな」

ムラカミが両手をクロスさせて

ボールに当たりに行った。

ムラカミがズズずっと後退する。

土煙が上がった。

「やるな」

ムラカミがニヤリと笑った。

「今度はこっちの番だ」

ムラカミが鋼球を思いきり蹴った。

「交響曲第六番ニ短調アヒルの合唱」

ムラカミの叫び声とともに、ボールが

音符のような曲線を描きながら、

ハイトに襲い掛かって来た。


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