救世主7
「前から思ってたけど、アンタそれ、自分で買ったの?」
出勤後の更衣室、バッグの中の財布を見た春香が言った。
「ん、おばあちゃんに買ってもらった」
「アンタがブランド物持つなんて珍しいと思ったわ。リッチなおばあちゃんね、それ10万は下らないでしょ」
おばあちゃんに言われた通り、わたしは高校を卒業してから良い財布を買った。本当はもっと安い物でよかったのだが、残ったお金を使う事は、わたしには出来ない。だから、貰ったお金に少し上乗せをして買える物を選んだ。
「財布は人に見られるからね」
「ふぅーん。まっ、そうね。良い物を身につけてると気分も上がるってもんよ」
「うん。良い物には良い物が寄ってくるんだって」
「・・・じゃあ、何であたしには良い男が寄ってこないのかしら」
「酒癖じゃない?」
「年内中に絶対良い男見つけるわよーっ!」
「無視かい」
「目指せ社長夫人ーっ!」
「そこかい」
おばあちゃん、わたしね、今楽しいよ。
仕事も頑張ってるし、良い人たちに恵まれて、毎日が楽しい。
だから、心配しないでね。わたしがいずれそっちに行くまで、空の上から見守っていて。
そして向こうで会ったら、また一緒にメロンパン食べようね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます