第3話:デジャヴ。

当然のごとく、僕は檸檬を連れて学校へ行く。

兄妹ってことになってるから別々で登校すると、おまえら兄妹なのに

仲悪いんだなって言われそうだから、一緒に行く。

僕は事実じゃないことを人から中傷されるのが大嫌いだ。


だから檸檬と最寄りのバス停からバスに乗って学校へ・・・。


「ねえ、良雄・・・私、髪カットしようかって思うんだけど、どう思う?」


「なに?失恋でもしたのか?」


「うん、良雄に・・・」


「松坊主にしてくれば?」


「あ〜ん真剣に聞け、良雄・・・相談してるんだよ、まじこで」


「好きにすればいいだろ?」


「最近、私に冷たくない?」

「えいっ!!」


「こら、やめろって」

「どこに指突っ込んでるんだよ・・・いきなりびっくりするだろ」

「人のケツの穴に指を突っ込むな」


「ケツの穴が冷たい人は。心の中も冷めてるんだって」


「誰が言ってんだよ、そんなこと」


「分かったよ・・・なにもないなら無理に髪カットしなくていいんじゃないか?」

「僕は長い方が好きだけどな」


「じゃ〜ショートにする」


「決まってるなら僕に聞くな」


まあ、だいたいそんなどうでもいいような話をしながら登校する。


僕と檸檬が高校に入学した時は、檸檬はクラスの男に告られた回数

学校中で一番多い回数を記録をしている・・・どんだけ男子にモテるん

だっよって話。

まあ、分かんないでもないけど・・・。

檸檬のビジュアルはクラスでもダントツだからな。


んだけど、檸檬に告った連中も檸檬の性格を知ってから、その手の女が

好みの男以外、檸檬を口説こうって男子はいなくなった。


まあ、檸檬もいちいち男から呼び出されるのは、うんざりだったみたいで、

相手にごめんなさいを言う代わりに、僕のことが好きだから、あんたとは

付き合えないって断っていたらしい。


檸檬に告って、断られたヤツが言ってた。


「おい、おまえら兄妹だろ・・・好き同士になっていいのか」って。


なんのことやら、さっぱり。

そのあとも、そんなことを言ってくるヤツが数人いた。

で、檸檬に確かめてみた。


最初は、のらりくらり誤魔化そうとしてたので無理に問い詰めたら白状した。


「なんで、勝手にそう言うこと言うんだよ・・・」


「良雄のことちょこっと利用させてもらっただけ・・・」


「そう言うことに僕を利用するな」


「そうだけど・・・良雄、私のこと嫌いじゃないでしょ?」


「そりゃ兄妹だし・・・ウザい時もあるけど、嫌いじゃないよ」


「ウザいってなに?」


「そのままだよ・・・って言うか、僕のことが好きだなんて言ったら

誤解されるだろ?」

「僕だって誤解するだろ」


「いいじゃん・・・誤解したっていいよ私、良雄のこと好きだもん」


「・・・・そんなこと、はっきり聞いたの初耳だぞ」

「だけど、それは兄妹だからだろ?」


「兄妹ってのは意味ないから・・・血の繋がってない男に対する女の

恋愛感情・・・」


「それはよかないな・・・檸檬は瀬戸田家の籍に入ってるんだから

僕らは法律上じゃ兄妹ってことになるからな・・・不謹慎って思われるぞ」


「良雄は他人の目が気になるんだ」

「それに兄妹で恋愛しちゃいけないの?」


「まあ、いけないって言うか、現に兄妹のカップルだっているし、結婚

してるカップルだっていると思うけどな・・・」


「じゃ〜いいじゃん」


そんなこと檸檬に言われたもんだから僕は檸檬を意識しはじめた。

うちの家庭内で僕たちの恋愛がダメって決め事はないからな。


で、不思議なことに僕は、檸檬が僕を利用したって話を、そのシーンを

三度も繰り返し見た。

同じことを三度経験したんだ・・・まさにこれってデジャヴ。

まるでマインドコントロールされたみたいに・・・それってなに?

いくら考えても意味不明・・・夢じゃないことだけは確かだった。


つづく。





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