第2話:二度寝したらぶっ殺すからな。

まだ幼児体型が残ってるものの檸檬はもう立派な女・・・僕と同じ高校に

通う女子高生。

ピチピチ・キャピキャピ・・・爽やかで今が一番、初々しい時。

うちは全員、日本人だから当然、髪は黒髪だけど檸檬は産まれながら赤い。

だから檸檬のことを知らない人は髪を染めてるんだと思ってる。


幸いにも通ってる高校は身だしなみには、ゆる〜い高校だから、赤い髪に

関して注意を受けることはなかった。


髪が赤いことも含めて例のポルターガイストのことも、早めに成長したことも

あるしで檸檬の正体が何者なのかは、未だに謎のまま。

いったいこの子って何者?


天使なのか、悪魔なのか、異世界から来た精霊なのか、はたまた異星人なのか?

檸檬を捨てて行った人が分からない以上、彼女の正体も分からない。


檸檬の性格は、サバサバしている、男っぽくて、ぶっきらぼうでツンデレ・・・。

優しい両親に僕と一緒に育てられたにもかかわらず僕と性格がまったくの真逆。


「檸檬・・・良雄を起こしてきてくれる?」


「ほ〜い」


毎朝、お母さんに促されて檸檬は僕を起こしに部屋にやって来る。


「お〜い、良雄・・・起きろ〜」

「・・・・・・・・」

「起きろってば・・・私に手間取らせないでくれる?」


それでも起きないでいると僕は檸檬からキス攻めに会う。

顔じゅう、ツバだらけにされる。


「やめろ〜!!兄ちゃんの顔に妹がキスって、それっておかしいだろ?」


「兄妹じゃないじゃん」


「そうだけど・・・妹だって意識を持ってないと檸檬を女として見てしまう

だろ・・・それはマズいからな」


「そんなの拘る意味ないし・・・」


「にしても、僕の顔にキスするのはやめてくれ・・・ツバって乾くと臭い

んだからさ」

「それにいくら妹って言ったって、女からキスなんかされたら妙な気分になる

だろ?」

「兄ちゃんだって、男なんだからさ・・・キスはやめろよ」


「はい、お兄様・・・なんでもいいから起きて?」 


「バカにしてんのか?」


「いいから〜、起きろ・・・二度寝したらぶっ殺すからな」


「女の子が兄に向かってぶっ殺すなんて物騒なこと言うな」

「だいたい人に対して軽々しく殺すなんて言うもんじゃないよ」


「ただの言葉でしょ・・・意味なんかないよ」


「なんで、そんな性格なんだよ?」

「我が家で育ったのに・・・普通さ、穏やかな家庭で育ったら穏やかな性格の

子に育つだろ?・・・そうなってないのが不思議だよ」


「私のせいじゃないし・・・持って生まれた性格ってやつでしょ?」

「私、瀬戸田家のDNA、一個も受け継いでないからね」


「それなんだよな・・・檸檬は絶対人間じゃないよな・・・もしかしたら両親は

エイリアンとか?」


「人をあんな化け物と一緒にするな、良雄」


「じゃ〜なんなんだよ・・・天使か?それとも悪魔か?もしかして妖怪?」

「まあ、天使じゃないことだけは確かだな」


「なんでよ?」


「なんでよって、天使ならもっと優しいって言うか思いやりがあるだろ?」


「そんなことなんで分かるの・・・会ったことあるの天使に」


「会ったことないけど・・・」


「会ったこともないくせに想像や憶測でモノを言うな良雄、天使が優しいなんて

なんで分かんだよ・・・ぶっ殺すぞ、まじで・・・」


「だから・・・言うなって、女の子なんだから」


つづく。

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