俺が無理をして関わる必要なんかない
ルラとノノと付き合うことになった日から、次の日になった。
付き合うことになったのに、あれから何も無かった……なんてことは流石にない。
まぁ、子供とかを作ったりなんかしてもお互いまだ責任を取れるような年じゃないし、そういうことはしてないけど、キスくらいは二人とした。
一番最初、ルラと付き合う前にノノがキスを拒否してきたのはやっぱりと言うべきか、嫌だった訳じゃなく、理由があったみたいだ。
もう深くは聞かないけど、ルラの気持ちを知っていたから、みたいな感じなんだろう。
……まぁ、俺は一応貴族だし、仮に子供が出来ても責任を取れないことは無いけど、ルラとノノは学園に通いたいだろうしな。
そんなことを思いながらも、俺たちは今、昨日と同じように親を脅……じゃなくて、お願いして用意してもらった馬車で学園に向かっていた。
昨日よりもみんなくっついた状態で。
付き合ってるんだし、問題は無いし、もちろん俺としてもルラとノノとくっつけるのは嬉しいんだけど、流石に馬車の中だけだよな?
学園について、リディアと合流してもこの状態だったら普通に恥ずかしいし、気まずいぞ。
俺だけじゃなく、リディアだって気まずいだろ。
まぁ、そこまで心配してる訳じゃないんだけどさ。
ルラは言うまでもなく天使だし、ノノだって常識が無いわけじゃない。
うん。大丈夫だな。
そうして、二人と馬車での時間を過ごしていると、あっという間に学園に着いてしまった。
俺が学園に行きたく無かったから早く感じたのか、ルラとノノと三人で過ごす時間が楽しかったから早く感じたのか……多分、後者よりのどっちもだな。
「着いたみたいだし、降りるぞ」
俺はそう言って昨日同様二人に手を差し出した。
「はい」
「うん」
昨日のことで多少は慣れたのか、嬉しそうにしつつも必要以上に同様はせずに二人は俺の手を握ってくれた。
「兄さん、ありがとう」
「ノヴァ様、ありがとうございます」
そんなやり取りをしつつ、教室に向かっていると、昨日同様ルラとノノが可愛くて、俺がイケメンだからか、視線を向けられている……のはいいんだが、一つだけ、怯えられたような視線、まるでルラ以外の家族がいつも俺に向けてくるような視線を感じた。
自己紹介はリディアにしかしていないし、まだ俺がノヴァだってことはクラスの人達も知らないはずだし、一体誰だ? と思いそっちの方に視線を向けると、一瞬、主人公と目が合ったのだが、直ぐに目を逸らされてしまった。
……昨日も思ったけど、なんで何もしてないのに、俺は主人公に怯えられてるんだ? ……と言うか、なんとなくだけど、幼馴染ヒロインとの距離感が少し遠くないか? 原作ではもっとくっついてたと思うんだけど……まぁいいか。
主人公にはリディアを守ってもらうって仕事があるとはいえ、俺が無理して主人公と関わる必要なんてないもんな。
主人公は主人公で勝手にリディアのことを守ってくれるだろう。
「兄さん? どうかしたの?」
「ノヴァ様? どうかしたんですか?」
「あぁ、あそこにリディアが居るなぁ、って思っただけだよ」
ちょうど目に付いたリディアの方に視線を向けながら、俺はそう言った。
そしてそのまま、三人でリディアに挨拶をするために近づいて行った。
昨日、もうリディアと友達になるって決めたからな。
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