最強になっても
ノノを交えて、ルラと話をした結果、俺の考えは勘違いじゃなく、普通にルラとも付き合うことになってしまった。
……いや、なってしまった、なんて言い方をした、嫌々ルラと付き合うことになったみたいになるから、ダメだな。
別に嫌な訳じゃない。というか、嫌な訳が無い。……ん? あれ? 嫌なわけがないんだけど、俺、今更だけど血の繋がった妹と付き合うことになったのか?
……よく実際に妹がいる人は妹にそういう感情なんて絶対に抱いたりしないし、むしろ気持ち悪い、みたいなことをいう人が前世には居たし、実際に俺も一人っ子じゃなかったらそう思うんだろうな、と思ってたけど、全然そんなことないな。
正直、嫌じゃないどころか、めちゃくちゃ嬉しい。
ルラが天使なことなんて当たり前の事実だし。
まぁ、それでも、ノノが嫌だと言っていたら、ルラには本当に悪いと思うし、心苦しいけど、絶対に断っていたんだけど、良いと言ってくれた……どころか、俺が嫌じゃないのなら絶対にルラ様とも付き合ってください! って何故か必死な様子で言われたし、俺に選択肢なんてなかった。
「……兄さん、本当は嫌だったりしない? ……私は兄さんのことが異性として大好きだけど、血の繋がった妹だし……」
「嫌なわけないだろ。ちゃんとルラのことも好きだよ」
「……いつもあんなにシスコンなのに、ノヴァ様がルラ様のことを好きじゃないなんて言う方がびっくりです」
小声でそう呟くノノの声が聞こえてきた。
……反論の言葉を言おうかとも思ったけど、それでルラに勘違いをされるのも嫌だから、俺は渋々何も言わずに聞こえていなかったことにした。
と言うか、ルラはさっき自分で俺がルラのことを意識してしまっていたことを言ってきていたのに、なんで今更そんなこと思ってるんだよ。
確かに、普通に血が繋がってないと思ってたから、って理由はもちろんあるけど、前世の記憶も相まって、血が繋がってないと伝えられてなかったとしても、多少の意識はどうせしてたと思うし、結果は一緒だったと思うぞ?
「……うん。ありがとう、兄さん。ノノも、ありがとう」
嬉しそうにそう言ってくるノノに安心して、俺はさっきみたいに恋人になったルラを抱きしめた。
もちろん、もう一人の恋人のノノも一緒にいるんだから、ノノも一緒に、だ。
……もう一人の恋人、か。
……恋人が二人出来ただけでも少し前の俺からしたら驚きなのに、それを一日で二人も作ってるんだもんな。最強になっても、人生驚くことって案外多いよな。
「ルラ、ノノ、二人とも、絶対幸せにするからな」
ノノにはさっき言ったことではあるけど、改めて俺は二人に向かってそう言った。
「う、うん」
「は、はい」
元から二人は絶対に幸せにするつもりだったんだけど、もっと幸せにしなくちゃならなくなったな。
……多分、リディアともこれから関わっていくだろうから、気を張っていかないとな。
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