改めての告白
「着きましたよ」
リディアを送って行ってから、俺達も自分の屋敷に向かって走る馬車に乗っていると、そんな御者の声が聞こえてきた。
「出るか」
「うん」
「はい」
そうして、三人で馬車を出て、家の中に入った。
もちろん、御者には明日もちゃんと来るように言ってから、だ。
別にわざわざ言わなくたって、あの俺にビビってる親こことだから、何も言わずとも今日みたいに待機させてそうだけどな。
「……私、部屋に戻ってるね」
家に帰るなり、ルラがそう言って、部屋に戻って行った。
俺がノノに話があるって言葉を覚えていてくれたから、気を使ってくれたんだろうな。
……ただ、少しだけ悲しそう、というか、なにか思うところがありそうな感じだったのは俺の気のせいか?
「ルラ、大丈夫か?」
「……え? うん。大丈夫だよ、兄さん」
ならいいんだけど。
俺の気のせいだったってことか。
「……ノノ、一応、俺の部屋に行くか。二人っきりになりたいし」
「は、はい」
ルラと別れながら、俺はノノと一緒に自分の部屋に向かった。
……リディアの時もそうだったけど、俺、最強のはずなのに、今度は改めてノノに告白するという緊張で心臓の鼓動が早くなりすぎて、ノノに心臓の音が聞こえてないか不安になってきたんだが。
「……」
「……」
そんな不安を抱えながらも、俺はノノと一緒に自分の部屋の中に入ったのだが、お互い、無言で立ち尽くしてしまっている。
……何をビビってるんだ。さっさと言おう。俺は最強なんだから、告白くらいのことでビビるなよ。
ノノと一緒に風呂に入った……入ってしまった日にもう告白してるようなものなんだから、本当にビビる必要なんてないんだ。
「雰囲気も何も無いけど、単刀直入に言うな、ノノ」
内心で覚悟を決め終わった俺は、ノノの目をちゃんと見ながら、そう言った。
「は、はい」
「ノノ、好きだ。俺と付き合ってくれ」
そして、言った通り本当に単刀直入に俺はそう言った。
「は、はい。私も、ノヴァ様のことがずっと前から大好きでした。あっ、で、でも……」
でも? でもってなんだ? 前は好きだったけど、今はもう好きじゃない、なんて言われたら、普通に泣くぞ?
「……でも、なんだ?」
「え、えっと、ノヴァ様のことは大好きなんですが、その……」
好きなのなら、普通に頷いてくれたらいいと思うんだが、なんなんだ? 一体なんの問題があるって言うんだ?
「わ、私以外に、恋愛的に好きな人とか、居たり、しませんか……? その、出来れば身近に」
ノノは本当に何を言っているんだ? ノノ以外に好きな人なんているわけないだろ。
いや、ルラのことはもちろん好きだけど、ルラは妹だし、別枠だ。
……まぁ、血は繋がってないっぽいけど、妹であることに変わりは無いしな。
「ノノ以外にはいないけど、なんでだ?」
「そ、それは凄く嬉しいですけど、ち、違うんですよ!」
ノノは顔を赤くしながら、何故かそんなことを言ってくる。
……いや、なんで?
照れてるっていうのは、見たらわかる。普通に可愛い。
ただ、何が違うんだよ。俺が一途なことに不利益なことなんて無いだろ。
「うぅ……と、取り敢えず、私もノヴァ様のことは大好きですし、お付き合いはします! でも、他の女の子、特に身近にいる人のことも好きになってもらっても全然大丈夫ですからね!」
「ノノ? 大丈夫か? 何か悪いものでも食べたか? 治癒士、連れてくるか?」
俺がノヴァに転生したと気がついた時のノノと同じようなことを俺はノノに言った。
「そんなの、要らないですよ……」
「正直、全く意味は分からないけど、もう俺たちは付き合ってるってことでいいんだよな?」
「は、はい。そ、それは、そう、です」
それを聞いた俺はノノの体を抱きしめた。
すると、びっくりしたような様子はあるけれど、ノノの方からも俺の事を抱きしめてくれた。
……絶対におかしいけど、割と抱き合うことくらいのことはしてた気がするし、今更必要以上に緊張はしないけど、やっぱり、改めて恋人になってこうやってくっつくのは、単純に幸せだな。
「ノノ、絶対幸せにするからな」
「……もう、幸せですよ」
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