やっと終わった

 外に出ると、ちょうど10匹のドラゴンが俺の目にはこっちに向かって飛んできているのが見えた。

 あいつ……黒幕が使役、無理やり操っているものだ。

 どうやって操っているのかは知らない。

 最後まで明かされなかったからだ。

 ……どう考えてもおかしいよな。こんな何かありそうな能力が最後まで明かされないなんて。

 だからこそ、ノヴァは作者の都合で無理やり弱体化されたなんて言われてるんだよ。


 まぁ、そんなことはもう今となってはどうでもいい。

 俺は誰も人質になんて取られてないし、ただ、あのドラゴンを殺すだけだ。

 とはいえ、消滅ディソリューションはダメだな。

 黒幕はあれのどれかに乗っているとは思うけど、もしも乗っていなかった場合、俺がドラゴンを滅ぼした光景を見て絶対に逃げ出すだろうし、そうなるとまた俺を……俺たちを襲ってくるかもしれないんだ。

 あいつに次なんて与えない。絶対に今回で仕留める。

 

 そんな覚悟を内心で決めて、結界があるから特に危機感を抱くことなく、ドラゴンが来るのを見つめていると、直ぐに目の前までそいつらはやってきた。


「なんだ、普通に乗ってるじゃないか」


 黒幕を目視した俺は、呟くようにそう言って、ドラゴンの頭上まで飛んだ。

 そしてそのまま、頭をかち割るように落下しながら足で蹴り飛ばしてやった。

 もちろん、黒幕が乗っていたドラゴンを、だ。


「お、お前! な、なんで……ま、待て、ぼ、僕はお前を助けようとしてたんだ!」


 ドラゴンをクッションにして、そいつは生きていたみたいで、わざわざ目の前まで移動してやると、そんなことを言ってきやがった。

 まだ9匹残ってるし、さっさとこいつは殺しておこう。無駄なことをして逃げられても嫌だし。……そんな可能性、0に等しいけど。


「そりゃご苦労さま。さよならだ」


「こ、後悔​──」


「しねぇよ」


 そう言って、俺は灰すら残さず黒幕を消し飛ばした。

 よし、これで後は本当に作業だな。

 そう思って、俺がドラゴンを殺すやる気を出すと、ドラゴン達は一斉に飛んできた方向に帰っていってしまった。

 ……別に追おうと思えば余裕で追えるけど、まぁ、別にあれは見逃してやるか。

 あいつに無理やり操られてただけなんだしな。


「……疲れたな」


 もちろん精神的にだ。

 俺はノヴァになったと気がついた時から、ずっと気を張って生きて……いや、ノノと一緒に風呂とかに入ってるんだし、それは嘘だな。

 ……ま、まぁ、それはともかくとして、それ以外は気を張って生きてきたんだよ。だからこそ、本当に疲れた。

 

 部屋に戻ろう。

 天使が眠っている部屋に戻って、俺も寝よう。

 ノヴァの……俺の弱体化イベントは回避したんだから、もう、ゆっくりと寝よう。

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