気持ち悪っ

 デビウルフだけじゃなく、そこから出てくる魔物も全部作業で終わった。

 そして、ダンジョンの五回層目までやってきた。五階層はよくあるボス部屋みたいな感じで、バカでかい門のようなものがあって、五階層に足を踏み入れた瞬間、それはゆっくりと開いた。

 ボス……ではなく、中ボスが居るであろう部屋だ。

 ボスは十階層目にいるはずだからな。


 そうして、その部屋に足を踏み入れると、その瞬間、黒いモヤのようなものが部屋の真ん中に集まっていき、黒いモヤが集まってたくせに、俺の肩に乗れそうなサイズの白い兎が現れた。


 可愛い。

 そう思ったのかつかの間。

 地面を蹴り、とんでもないスピードで俺の元までやってくると、思いっきり腹を蹴られた。

 すると、その勢いのまま、入ってきた門の所まで後方にさがらされた。


 見た目に騙されて、油断してたな。……いや、油断したことは確かだけど、別に避けようとしてなかったってのが正しいかな。

 俺が普通の人間だったら、全力で避けようとしただろうけど、俺は普通じゃないしな。

 幸いなことに俺は普通じゃないし、全くのノーダメージだ。

 

 ちなみに、俺に蹴りを入れてきた兎は俺の腹を蹴った後、宙を一回転しながら、後ろに飛び退いていたから、俺と兎の間には少し距離がある。

 ショートソードで……いや、一応ボスなんだし、あの技を使って倒すか。あの時使った消滅ディソリューションと同じで、使ってみたい技があったんだよ。


花園ガーデン


 俺がそう言うと、兎の中から花が気持ち悪い程に生えてきて、消えていった。……花だけを残して。

 ……いや、気持ち悪っ。……え? 文字で見る分には全然大丈夫だったけど、実際に転生して使ってみると分かる。……めちゃくちゃきもいぞ。……物語の中のノヴァはよく普通に使えたな。こんな技。

 割と今吐きそうなんだけど。……それくらいきもいぞ。

 ……花でよく分からないけど、ドロップアイテムが落ちてる感じもしないし、今日はもう帰ろう。マジで気分悪い。ダンジョンだから分かりにくいけど、もう外は暗くなってきてる頃だろうしな。

 そして、この技は封印だ。もう使わない。……結局消滅ディソリューションを使う方が強いし。


 そう思いながら、俺はダンジョンの来た道を戻った。

 残念なことに物語で良くあるダンジョンのワープ機能はこのダンジョン……と言うか、この物語にはには無かったから。

 まぁ、その代わり魔物の復活時間は一週間とかだし、また直ぐに五階層のボス部屋から進めるしな。

 俺のとんでも身体スペックを無駄に発動して、さっさと戻ろう。また、ノノとルラに心配をかけさせる前に。


 そう思いながらも、さっき見たあの花が気持ち悪すぎて、あんまりスピードは出せなかったけど、何とかダンジョンの入口まで戻ってきた。

 すると、当たりはもう真っ暗だった。

 外で頼りになるのなんて月明かりだけだから、正直どれくらいの時間なのかは分からないが、真っ暗なのは間違いなかった。

 ……気分も大分戻ってきたし、さっさと帰るか。

 デジャブにならないことを祈るぞ。

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