初めてのダンジョン
ルラと一緒に朝食を食べた俺は、ダンジョンに来ていた。
もちろん、昨日の失敗を繰り返さないように、ちゃんと二人には遅くなるかもしれない、と伝えてから。
「ブモォォォ」
すると、早速二足歩行の豚の化け物、オークがそんな咆哮を上げながら現れた。
ジャイアントオーガの時と違って、スキルを使う気は無い。
オーク相手……いや、オーク相手じゃなくても、俺がスキルなんて使ったら、基本的にはみんな瞬殺だしな。
そう思いながら、腰にぶら下げていたショートソードを鞘から抜いた。
そしてそのまま、腰を低くしながら、オークに向かって走り出した。
「ブモォ!?」
オークは俺のスピードについて来れずに、何の反応も許すことなく、俺は腹をショートソードで突き刺した。
そして、ショートソードを突き刺したまま、傷を広げるように腕を振るった。
普通の人間だったら、オークの腹に武器を突き刺したまま腕を振るう事なんて出来ないが、俺、だからな。
そう思いながらも、油断することなく、腹から抜いたショートソードで痛みに苦しんでいるオークの頭を突き刺した。
すると、そのオークは息絶えたのか、力が抜けて、俺の方に倒れ込んできた。
オークが死んだことを察した俺は、直ぐに突き刺していたショートソードを抜いて、倒れ込んでくるオークに潰されないように、後ろに飛び退くように下がった。
「まぁ、オーク相手だし、こんなもんだろ」
そう呟きながら、ダンジョン特有の魔物が消えていく様を見ていた。
……ドロップアイテムは無し、と。……オークのドロップアイテムなんてたかが知れてるし、特に気にせずに、俺はダンジョンの奥に進み出した。
そうしていると、直ぐに二層目にたどり着いた。
二層目に行くまでに何体か普通のオークやオークアーチャーだったりと色々現れたけど、最初に現れたオークと同じ感じで全部倒せた。……もちろんと言うべきか、ドロップアイテムは無かった。
「ん?」
二階層目に足を踏み入れた瞬間、赤黒い狼……確か、デビウルフだったか? が俺の方に向かって五匹くらいで走ってきた。
デビウルフ、名前だけ見たら、なんかちょっと可愛い印象を受けるかもだけど、やってこようとしてることは全然可愛くなく、俺の首を噛みちぎろうとその中の一匹が首元に向かって飛びついてきた。
俺は飛んできていたデビウルフの攻撃を避けながら、デビウルフの横を通り過ぎるようにして、鞘から抜いたショートソードで横腹を切り裂いた。
そしてそのまま、それ以外のデビウルフに特攻した。
俺のスピードに着いてくれなかったのか、簡単に一匹のデビウルフの頭を掴んで、壁に向かって思いっきり投げつけた。
俺の力で投げつけたんだ。あいつはもう死んだと見ていいはずだ。
「後、三匹」
そこからは作業だった。
もう、スキルを使って倒してても、同じだったかもしれない。
まぁ、もう終わったことだし、それは別にいいんだ。
それより、何かドロップアイテムを落としてるし、そっちの方が大事だ。
「……デビウルフの牙。……ハズレアイテムだろ」
……この世界に来て、初めてのドロップアイテムなんだし、一応、持っとくか。……いつか思い出の為に何か装飾品にでも加工してもらおう。
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