消滅
家を出た俺は、真っ先に森に向かった。
普通の人間なら、30分はかかりそうな距離だったんだけど、適当に走ってただけで、5分くらいで森までこれてしまった。
流石すぎるな、ノヴァのスペック。……もし、本気で走ってたなら、1分もかからなかったんじゃないかとすら思えてくる。
「オォォォォォォォォ」
そんなことを考えながら、森の中を適当に歩いていると、いきなり、そんな咆哮が聞こえてきた。
もし、ノヴァになる前の俺がここにいたら、確実に腰を抜かしていたと思う。なんなら、この咆哮だけでショック死してたかもしれない。
ただ、今の俺はノヴァだ。
だから、俺はその咆哮が聞こえた方向に向かって走り出した。
すると、直ぐにその咆哮を上げた相手を視界に捉えることが出来た。
あれは、確か、ジャイアントオーガ、だったか。……原作では、主人公が中盤くらいに倒せるようになる相手のはずだ。
武器は無い。持ってきてないから。
普通に考えたら、武器も無しにあんなやつと戦うなんて、頭がおかしいと思う。
ただ、ノヴァなら……いや、俺なら、あの程度の相手、武器なんて必要ない。
「
俺がそう言った瞬間、常人なら耐えられない程の圧を醸し出していたジャイアントオーガは、まるで最初からそこにいなかったかのように、綺麗さっぱりと俺の目の前から消えた。
……体を慣らすって意味では、もう少し違うやり方の方が良かったのかもしれないが、見たかったんだよ。弱体化をされて、使えなくなっていたノヴァの最強技の一つを。
……技は見れたし、残念だけど、暫くはこの技は封印だな。
せっかく魔物を倒しても、素材が何も手に入らないんだったら、意味が無い。……その分経験を積める訳でもないし、本当に意味が無い。
……まぁ、正直、スキル無しで普通にやっても、瞬殺出来そうだったし、意味があったかは知らないが。
「取り敢えず、別の魔物を探すか」
今度こそ、体を慣らす為に普通に戦っておきたいからな。
正直、森にいる魔物なんかに期待はしてない。
だから、今日はほんとに肩慣らしのつもりで来てるんだ。明日からはこんな森じゃなく、ダンジョンに行く予定だから、あれだけで終わる訳にはいかないんだよ。
そう思って、森の中を歩き続けたんだけど、全く魔物に出会えないまま、辺りが暗くなってきてしまっていた。
……嘘だろ。なんで、ここまで走り回って、魔物どころか、動物一匹にすら出会えないんだよ。
俺、気配ちゃんと消してるよな? マジで俺の運が悪いのか?
「……そろそろ、帰んないと、だよな」
……まぁ、俺は最強なんだし、肩慣らしなんかしなくても、平気か。
絶対、弱体化イベントなんてクソイベント回避して、最強を維持してやるって決めてんだよ。
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