第3話 My Name is ……
なんとかケルベロスの巣から逃げ出した二人は、近くに
「……なぜ、お前のような『
「命の
ため息を一つ出し、少女はひとつ
「……まあいいわ。私の名前はカンナ。よろしくね」
差し出された右手に、魔王の少年は
「カンナ、か。お前、
その問いかけにカンナの表情が少し
そして取り
「さぁ……忘れちゃった。私は生まれたときから両親のことを知らないもんだからさ」
「……そうか」
しばしの沈黙。
それを破るように、カンナは大きな声で、
「しっかし、ケルベロスが出るなんて話、聞いてなかったわよ。このあたりの森はCランクの魔物がたくさん出るから困っているって、村の人に言われて
「村……?」
ほとんど人の手が入っていない、
「そう。
ちらり。カンナが
「やっぱり、今日は魔物を
「怪我?俺は
カンナは少年の右手を取り、巻かれている
「何を言っているの?あなたボロボロじゃない。ケルベロスと戦う前からきっと
「やめろッ!!それに触るなッ!!」
魔王はカンナが眼帯に触れようとした手をさっと振り払い、『右手が
「間違っても『これ』を
「なにを言っているのよ!とにかく、
いまいちピンとキていない様子のカンナは、ついてくるように
「しかし……どうにもおかしな話だな。ケルベロスがいるような森なら、Cランクの魔物はすべてヤツに
「え?そうなの?」
カンナは
「……いや、やっぱりなんでもない。気にしないでくれ」
時間はちょうど
なにはともあれ、魔王はカンナの
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
しばらく歩くと、カンナの言っていた『村』が
村の
こじんまりとはしているが
「カンナ、ただいま帰りました!」
カンナが大きな声で帰宅の
――まるで、返ってくるとは思っていなかったように。
「あー……おかえりなさい」
「困りますよ。私達が指定した場所に行ってくださらなかったんですか?」
「ええ……まあ。途中でこの人に出くわしてしまい……」
カンナが隣で突っ立っている少年をしれっと前に出す。
「えっと……どなたでしょう?」
「そういえば、まだあなたの名前、聞いてなかったわよね。この
――ついに来たか、このときが。
魔王が百年間も自室に
さらにそれに
それを
「――俺の名前を聞きたいか。ならば聞け!」
ごくり、村人とカンナは
日が暮れ、月が出るまでの
「俺は『剣』と『魔法』の世界における『魔』を
『ギヤアァァァァァ!!』
次の
それは七度ほど
そして、ようやく
「ごめーん……名前のところだけちょうど聞こえなかった。もう一回、いい?」
カンナが魔獣の
「ま、まあ今夜はゆっくりしていってください。この村は
「……自給自足、か。大変だな」
その日は、そのままカンナと分かれて眠るのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
村から数十キロ離れた
少女は肩の前にふわりと出した
「まおうさま……みーつけた」
次の
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