第20話 閑話休題 エマリーの失態



 ヴィレム達のいる19世紀から遡ること、3世紀。 1500年代も終わり頃、ラインラントから全ヨーロッパに支店を広げた商会があった。

 その名は、アインス商会。


 その原動力になった人物の一人が、エマリー・アインホルンだ。幼い頃より父のゲルハルトと共に各地を回り商売をしていた。

 だが、彼女には弟がいた。


 彼女は恐れた。


 父と共に作った商会を、何もしていない弟が継ぐのかと。

 そして、他所から嫁に来た女が奥様とか呼ばれて、私と父が作った商会に居座るのかと。

 私は嫁に行って良いのだろうかと。


 答えは、否!


 父の後は、私が仕切るべきだ!


 となると、弟はどうするべきか?

 女の子の様に可愛いのだ。女と偽って嫁にでも出すか……


 さて、そんなことが出来たか、どうかは、さておき。


 商会に残ることにしたエマリー。

 だが、このままでは次の代の会長がいなくなることに、気が付いた。

「あぁ、私のおバカ。私が結婚しないと、これでは商会が潰れてしまうわ」

 さて、どうしたことか? 


 弟は、他の商会へ出したため、そこを継いでいる。

 弟の息子を私の養子にすれば、良いか?


 それには、弟の嫁のマリーネが反対をしてきたが、アインス商会と弟のカール商会を合併させることで、この息子が両方の店主である形にした。


 弟の嫁はかなりの頑固者のようだ。

 田舎の旧家出身らしいが、そのせいだろうか?

 

 そう思うと、やはり、外に出しておいて良かったと思うわ。




第二章 終わり

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