第5話 この動きは違う 刀は?

「ユリィーーー!」


 アレクセイの声が聞こえる。


「ザマァミロ! 俺様にお前ごときで勝てるか!」


 きいた……けど浅い…な。


 直前の避けたが、ノーダメというわけにいかない……


「まだ!」


 間合いは遠いく見えるだろう、しかし、ここなら飛び込み面でとどく!


 剣道の足さばきで遠間へと接近し、片手面打ちに振り下ろす。


 とっさにグロモボーイは避ける。しかし、動きが鈍い、避け方も日本武道らしくない。


 やはり、刀とは関係ない動きだ。

 

「ここは俺の間合いだ!」


 小さな俺の体から、一気に小手をねらう、必死にふりはらおうと動くが、振り払うことができない。

 それも、そうだ。

 やつの足さばきはつたない。

 

 つかず離れずの間合い、やつは思いっきり剣を振り下ろせない。

 

「くそ!! くそ!!」


 腕をたたみ戦うことを知らない奴はかっこうの的だった。短い間合いでの、連続での下からの逆袈裟、そして、胴払い、脚切りに対応しきれていない。


 背の高い、ヤツにとっては戦いにくいはず。 

 これは昔の自分が嫌がる戦いだ。

 懐に入りこまれると、大きな体の人間は手が出しにくい、そして、防御のしにくい、足から胴体へと、小さな傷をふやす。


「まだ、まだ、藤宮派一刀流、虎乱!」


 密着中の俺は器用に剣をふり続ける。

 

 自分の体では威力が低い、しかも、自分の体にも最適以上に近間で攻めている。


 よし、これなら! 


「ライトニングブレード!!」


 俺の目論見は甘く、自らに雷を落とす。

 さすがに魔法剣を相手するすべはない!


 とっさにはなれ距離をとる。

 煙でグロモボーイの姿は見えない、引きはがしと同時に目隠し。

 剣士というよりは魔法使いのが向いているのではないか?


 これはまずい……


 また、煙の中で雷の光輝く。

 遠距離をとられるとマズイ。


 前世では見たことがない、雷が走る、その光景。

 むかってくる雷を俺は飛び跳ね、無様なように逃げつづける。


 しかし、内実は開き足から、周り受け身と体位を変えてユックリと接近していく。

 

「な、なんだよ、これ!」


 乱れくる雷を態勢をかえさける。


「いい加減、終われよザコがーーー!!」


 光り輝く魔法剣、その威力は凄まじいが、動きがみえる。

 おおぶりなゆえか弓よりは攻撃が読みやすい。


「おのれぇぇぃ!!!」


「ウスノロ」


 俺の嘲笑に頭に血が上ったグロモボーイは大技の構えをとった。

 最大威力の魔法剣だろう。


「あれは魔法剣、グングニール」


 最大規模の強大な一撃は目がくらむ。

 視線が全てふさがれる攻撃のカウンターに、歩法、神速を発動する。


 ギリギリを通りすぎるイカヅチ。

 そのさなか、俺は剣をふり上げた。


 片手上段に構え、こちらも振り下ろす。


 ー藤宮派一刀流・一の方、雷刀ー


 驚愕にゆがみグロモボーイに俺は脳天へと、袈裟斬りにふりおろす。


 瞬間的に剣が割れた。

 折れたぶん威力は相殺されているだろう

 しかし、これで勝利だ。

 

「グァぇーー!!」

 

 鈍い一撃とともにグロモボーイはくずれる。

 決着は刹那とかからない交差の中で終わった……


 


「Aランクが、Fランクに負けた……」


「おおーーー!!」


「あのチビが??」


「す、すげぇー!」


 口々の称賛に俺は目を丸くして、みわたす。

 そんなにすごい事をしたつもりはない。


 ただ才能によった小僧を伸しただけだ。

 剣と魔法の力を見誤った小僧を倒しただけ……


 俺は何かやってしまいましたか………??

 

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