第3話 それは……刀? そこからの決闘
鮮やかだな。
景色を見ても日本ではない、学園都市ニコラスブルグは、レンガの町並みが並ぶ美しい。
教会や学校はドーム型で装飾過剰な姿は前世で学んだバロック様式を思いだす。
細かく見るとキリスト教とは違う意匠が多くて、地球ではないのがよくわかる。
戸惑いが少なく、見ていられるのは以前の記憶があるからわかる。
ちなみに俺の状態はユリィーと前世の俺が混ざっている形だ。
自我が薄いカワイイユリィー少年にいきなりおっさん人格の覚醒に戸惑っていることでしょう。
あいすまん……
「どうした? ユリィー」
苦悶の表情を浮かべるユリィーくんに不審がるアレクセイ。
とりあえず、俺はふと視線を回して。
「なんでもない」
とりあえずごまかす……誰にもいえないよな。
魔女狩りはなかったと思うけど……
とある店の前に人だかりにあふれていた。
「な、なんだ、この人の群れは?」
アレクセイの驚きは理解できる。
行列ではない、ふさがれて進めないというのが正しい。
「どうしたの?」
目の前の男にたずねると。
彼は顎でクイと指したさきには、一人の男が暴行を受けていた。
金髪碧眼のいけ好かないイケメンが男をけり込んでいるところ。
他にも何人ものB、Cランクの男達がかかこんでいた。
彼は顔をふせているため、姿は見えない。
「Aランクの公爵の息子に偽物呼ばわりかぁぁ!」
ため息をつく生徒。
イジメか、この学園は身分は関係ないと言いつつ、爵位は重要でさらに騎士、魔法使いのランク付けが偉い偉くないの判断になる。
「なぁ、ニセモノとか言いがかりつけやがって! ふざけるな!!」
「おいおい、Aランク最強剣士のグロモボーイ様をコケにするか!」
エラそうな金髪碧眼の男、黙っていればイケメンなのに。台無しだ。
「ごまんなせい! ごめんなせい! 娘にはよく言っておきますから!」
大の大人が涙と鼻水タラタラで頭を下げ続けていた。
「悪いのは私だ。父様じゃなくて、私にしろ!!」
男の手を小柄な少女が掴む。こちらからは、彼女の顔はわからない。
けど、勇気ある。
しかし、そんな彼女をグロモボーイという男はか彼女の頬に拳をあげる
「この劣等種!!」
魔力を込めた一撃に、少女の体がふきとび、壁へと弾き飛ばされた。
「フレイーー!」
少女のもとに父親が近づこうとするが、その背中をグロモボーイはふみつけた!
そのまま背中をグリグリと力を込めている。
笑みを浮かべ、強くなじり、自分の激情をたたきつけていく。
こいつ、許せない。
見て見ぬふりをしていた自分を思い出す。
今までの目覚める前はアレクセイの後ろで隠れていた弱々しいユリィー。
そして、前世の俺は弱い自分が嫌で鍛えた。
技をなぞり、そして、試合で自信にでて変わったはず。
だから、俺は……
「おい、行くぞ」
BランクのアレクセイはAランクに注意するのは気が引けるだろう。
けど、俺はすっと前にでる。
「彼も謝っている、それでいいんじゃないかな?」
さらに殴りかかろうとするとグロモボーイの前に立つ。
いま邪魔をした、俺に向ける視線は嘲笑と侮蔑、新たなザコを見下ろす。
「なんだ、チビ!」
チビと言われ、見下ろすと書いたが、俺はちびだ12歳だから、これから伸びるに違いない。
今だけだよ……クソガキ!
俺を見下せるのはな!
なにせ、前世は190センチ近い巨漢だったけど。まぁ、ピキピキくる。
「ち、チビ……」
「こいつらはな。俺をニセモノと言いやがった。パクリだと、ふざけるな劣等人種が! 人間様にたてつくんじゃねぇ!!」
そのまま、グロモボーイは踏みつける。
また、男の顔をけりあげる。
「それだけ? つまらないな」
あざけ笑うように俺はため息をつく。
「き、きさまぁぁーー!」
彼は腰の武器に手を伸ばす。
おっ、やる気か…技をとり戻した俺の実力を見よ! ってぇぇ!
う、う、う、ちょ、ちょと、待て、その腰の物は
か、刀じゃないですよね?
お、おい、刀!! 刀、刀、刀!!
「それ、刀……!」
「おい! チビ、今すぐに決闘だ! この村正のサビにしてやるからなぁ!」
そんなオラツキ、カルシウムが足りなそうなザコ以上に俺のほうが。
「ふざけるな!! 刀のサビはすぐに落とせ!!」
刀へのアオリに弱い俺は、ヤツの決闘を受けてしまったことになった。
錆びた刀を直すのめちゃ大変なんだぞ!
おれはすでに前世であの竜麿のサビになっている。
ちゃんと血は拭ってから死んだよな?
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