第2話 もしかして……刀は?

 あぁ〜魔法はスゴイ。


 前世の日本にもこんな医療技術はない。   

 訓練用の剣は金属製、刃はついていないにしても、あっという間に治ってしまう。


 そして、この感覚、なんか、気持ちいい♪

 

「お〜お、おーお〜!」


 俺の傷口が閉る感覚は不可思議で説明が難しい。


「変な声だして……気持ち悪い」

「いや、ごめん、ごめん」


 運動神経もよく剣の才能もあって、将来を見込まれるわけだ。


「たすかるよ~」


 俺の感謝にアレクセイはケムシをみたように顔をゆがめていた。

 

「素直じゃないな」 


 とつぜん、前世の記憶が戻っても、友達のアレクセイの事を覚えている。

 いつもクールなアレクセイ、いろいろと知っている賢い、もしかしたら知っているかもしれない。


 そう、この異世界に刀はあるのか?

 記憶をあさっても刀の存在を思いだせない。

 にたようなものを見た覚えはあるけど、あったかな?


「刀って、知ってる?」

「かたな? なんだそれは?」


 やはり、予想通りの反応だった。

 とりあえず、枝をとって地面に絵をかく。

 あまり、美術の成績が悪い俺がかいて、伝わるのか、細長い片刃の刀を描いてみる。


 ジッーとアレクセイが見ている。

 俺の描いたものをながめて、まゆげをゆがめていた。


「う〜、グリンピースか?」


 そんなに分かりづらいか、これ。


「刃が片方にしかない剣……みたいな」


 首をひねるアレクセイ。やっぱりないのか……

 俺が落胆していると。


「ニホントウ、みたいなやつか?」


 なぜ、そこで名前がでるんだ!!!!!

 この世界でもニホンがあるのか、何か意味が?!

 それとも、かつて日本人でも来たことあるのだろうか? 


「それは、どんな形なんだ」

 

 俺は肩を掴みアレクセイの肩をゆらし、続けた。

 今までにない、強くゆらしている。

 

「お、おい、なんだよ急に!?」


 いきなりの態度の急変にアレクセイが驚いている。

 それは友人の急変に強い態度は慌てるはすだ。


「あっ、うん、ごめん……それで」


「ニホントウ……まぁ、軽いくせに両手で持つ曲がっている変な剣」


「それは、折れず……曲がらず…よく切れる」


 よく、日本刀を語るさいのフレーズ。

 日本刀はなにかといわれる伝説の言葉だ。

 しかし、俺の言葉にアンドレは首をふった。


「そんな魔剣みたいなもんじゃない……あれは……まぁ……目覚めた的な……」


 目覚めた??


 何に??


 皮肉めいた空気がただよっている……ような

 バカにしたものを……隠すような

 

 にごす言葉に俺はなんとなくさっしていく。

 期待するほど素晴らしいものではない。


「まさか、ユリィー目覚めたとか……いうなよ」


 その顔はどこか青ざめて俺をみている。

 たしかに、目覚めたと……いえるかも……いや……けどさ。


 そんな、事いえるわけないよな。


「なんの事?」


 一瞬、自分のこえが甘えをふくんでいる。

 この男ぶりっ子で通じてくれよ。

 

 じっと、みつめるアレクセイに俺はヘラヘラとわらいごまかす。


 かつてのユリィーに前世の俺が入りこみ、変わってしまった。

 

 そんな俺をなんて、思うかわからないからな。

 とりあえずごまかす。


 やがて、アレクセイはため息をついた。

 納得してくれたようだ。

 良かったかな。


 


 


 

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