第4章

真琴は新たな人生を歩み始めていた。前世の記憶を胸に秘めながら、再びタイムトラベルの研究に没頭する日々。しかしその陰で、ソラとの再会を果たすべく、手がかりを探し続けていた。


「ソラは一体どこにいるんだろう…」

幾つもの時間軸を渡り歩きながら、真琴は自問自答を繰り返す。

「前の世界では特異点として現れたソラ。だが、この世界線での彼女の存在は、まだ掴めない」

真琴は思い当たる場所を片っ端から訪ねていった。タイムトラベルに関する記録が眠る図書館、時空の歪みが観測された地点、過去に事件や奇跡が起きた現場。だがソラの痕跡は、どこにも見当たらない。


「ソラ、君は一体何者なんだ…?」

探し求める中で、真琴はソラの謎めいた存在に思いを馳せる。

「前世の私を導き、異なる時間軸へと誘った少女。それも、私だけでなく、他の誰かも巻き込んでいるようだ」

真琴の脳裏に、療養施設で出会った女性の言葉が蘇る。

"ソラは、あなたを待っている"

「もしかしたらソラは、特定の個人だけでなく、魂で結ばれた存在を探し求めているのかもしれない…」


仮説を巡らせながら、真琴は街角の小さな喫茶店に入った。

ふと、隣席の男性二人の会話が耳に飛び込んでくる。

「俺もこの前、夢でソラって少女に会ったんだ。不思議な体験だったよ」

「えっ、君もソラを知ってるのか?」

真琴は我慢できずに、会話に割って入った。

「すみません、今ソラという名前を出されましたよね。どのような夢だったんですか?」


二人の男性は、不審そうな顔をしながらも、真琴に夢の内容を語った。

「ソラはいつも、こう言うんだ。"あなたを待っている。魂を共鳴させる者と出会うように"ってね」

「そう、俺の夢でもそんなことを言われた気がする」

真琴は鼓動が速くなるのを感じた。ソラが示した"魂を共鳴させる者"。それは、真琴自身のことを指しているのだろうか。

「実は私も、ソラという少女を探しているんです。もしかしたら、私たちは何かに導かれて出会ったのかもしれません」


三人は店を出て、ソラについての情報を交換し合った。

「私は白川真琴。よろしければ、もっとソラについて教えてください」

「俺は榊原歩。よろしく」

「田島翼です。ソラを通して、新たな仲間に出会えたようで嬉しいですね」

興奮気味に語り合ううち、不思議な連帯感が芽生えてくる。

ソラは、真琴だけでなく、歩や翼とも魂で結ばれているようだった。


「ソラは、私たちに何を伝えようとしているんだろう…」

「時空を超えた、魂の絆について、かもしれないな」

「私たちは、前世から結ばれていたのかも」

互いの記憶や体験を重ね合わせるほどに、真琴たちの意識は重なり合っていく。

まるで久しい友と再会したような、不思議な感覚に包まれた。


「私たちは、ソラを見つけるために動き出すべきだ」

「そうだね。ソラが私たちを導いてくれるはずだ」

「私も行きます。ソラとの約束を果たしたい」

三人は力を合わせ、ソラの手がかりを求めて動き出すことを誓った。


「世界線を越えても、魂でつながった仲間がいる」

「ソラを介して、私たちは何度も出会うんだろうな」

「絶対に、ソラのいる場所にたどり着こう」

固く手を握り合い、真琴たちは新たな一歩を踏み出した。


異なる時間軸を旅する中で、ソラの導きはさらに明確になっていく。

真琴と歩、翼の絆は、ソラとの魂の共鳴によってますます強くなっていった。

「三人もの魂の欠片を集められたんだ。ソラに会える日は、きっと近いはず」

そう確信した真琴たちは、未知なる時空の彼方へと飛び込んでいく。


ソラとの再会。

それは真琴にとって、旅の終着点であり、新たなる始まりでもあるのだった。

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